「ブロックチェーンって、ビットコインとかの話でしょ?銀行には関係ないんじゃない?」

そう思っている方も多いかもしれません。でも実は今、日本を代表する3つの大手銀行が、ブロックチェーン技術を使った新しいお金の仕組みづくりに本気で取り組んでいます。

2025年11月、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の3メガバンクが、「ステーブルコイン」と呼ばれるデジタル通貨の共同実証実験を開始しました。しかも、金融庁のお墨付きです。

この記事では、以下のポイントをわかりやすく解説します。

  • そもそもステーブルコインって何?
  • なぜ大手銀行がブロックチェーンに参入するのか?
  • 私たちの生活にどんな影響があるのか?
  • 日本のWeb3は今、どこまで進んでいるのか?

※ここでいう「Web3」とは、ブロックチェーン技術を活用した次世代のインターネットサービスの総称です。


ステーブルコインって何?デジタルな「日本円」のようなもの

価格が安定したデジタル通貨

ステーブルコインを一言でいうと、「価格が安定したデジタル通貨」です。

ビットコインやイーサリアムなどの暗号資産は、価格が大きく上下することで知られています。昨日100万円だったものが、翌日には80万円になることも珍しくありません。

一方、ステーブルコインは日本円やドルなどの法定通貨に価値が連動しています。つまり、1コイン=1円のように、価値が安定しているのが特徴です。

わかりやすくたとえるなら、ステーブルコインは「デジタルな図書カード」のようなもの。図書カードは500円券なら500円の価値がありますよね。それと同じように、ステーブルコインも常に決まった価値を持っています。違うのは、ブロックチェーン上で動くので、インターネットを通じて瞬時に送金できるという点です。

なぜ今、銀行がステーブルコインを?

従来の銀行送金では、企業間のお金のやり取りに時間とコストがかかっていました。特に海外送金では、数日かかることも珍しくありません。

ステーブルコインを使えば、ブロックチェーン上で直接お金を送れるため、送金時間の短縮とコストの削減が実現できます。

3メガバンクが合計で抱える法人顧客は30万社以上。この規模でステーブルコインが普及すれば、日本の企業間決済のあり方そのものが大きく変わる可能性があります。


金融庁も本気。「ペイメント・イノベーション・プロジェクト」とは

国が支えるブロックチェーン実験

2025年11月、金融庁は3メガバンクによるステーブルコインの実証実験を「ペイメント・イノベーション・プロジェクト」として正式に承認しました。

金融庁は声明で、「ブロックチェーン技術を活用した決済の高度化に向けた進展に対応するもの」と説明しています。つまり、国としても「これは未来に必要な技術だ」と認めたということです。

Progmat(プログマ)が技術の要

この実証実験で使われるのが、三菱UFJフィナンシャル・グループが開発した「Progmat(プログマ)」というシステムです。

Progmatは、ブロックチェーン上でデジタル資産を発行・管理するためのプラットフォームです。すでに40件以上のセキュリティ・トークン(デジタル証券)の発行実績があり、2025年9月には国内過去最大規模となる約314億円の不動産セキュリティ・トークンの発行にも活用されています。

たとえば、これまで億単位の資金が必要だった不動産投資が、Progmatを使ったデジタル証券なら数万円から参加できるようになっています。ブロックチェーンが「お金持ちだけのもの」だった投資を、より身近なものに変え始めているのです。

法整備も着々と

日本は実は、ステーブルコインの法整備では世界でも先行しています。2023年6月に施行された改正資金決済法により、国内でのステーブルコインの発行・流通に関するルールが整備されました。

2025年8月には、東京のスタートアップJPYC社が金融庁からステーブルコイン発行に必要な資金移動業の登録を受けた第1号となりました。JPYCは個人向けの少額決済、メガバンクは企業間の大口決済と、それぞれの役割が見えてきています。


以前と今、何が変わった?

ここ数年で、日本の金融とブロックチェーンの関係は大きく変化しました。

以前(〜2023年頃)

  • ブロックチェーンは「暗号資産=投機」のイメージが強かった
  • 銀行はブロックチェーンに対して慎重な姿勢
  • 法整備が追いついておらず、企業も手を出しにくかった
  • ステーブルコインの国内発行は実質的に不可能だった

今(2025〜2026年)

  • 3メガバンクがステーブルコインの共同発行に動き出した
  • 金融庁が正式に支援し、法的な枠組みも整った
  • 不動産のデジタル証券化が314億円規模で実現
  • 米リップル社とSBIも、2026年に日本で新たなステーブルコイン「RLUSD」を発行予定
  • ステーブルコインの世界市場は時価総額3,000億ドル(約45兆円)を突破

ブロックチェーンは「怪しい投機の道具」から「銀行が使う次世代の金融インフラ」へと、確実に変わりつつあります。


私たちの生活はどう変わる?

送金がもっと速く、安くなる

企業間の送金が効率化されると、そのメリットは私たちの生活にも波及します。たとえば、ネットショッピングの決済がよりスムーズになったり、給与の支払いが即日になったりする可能性があります。

少額から投資ができるように

Progmatのようなプラットフォームを使えば、これまで手が届かなかった不動産などの資産に、数万円から投資できるようになります。「応援したい街の再開発プロジェクトに少額で参加する」といった新しい投資のかたちも生まれています。

デジタルIDとの連携

EUでは2026年までに各国民へのデジタルIDウォレット提供が義務化される予定です。日本でもマイナンバー制度を軸に、デジタル証明書との連携が進んでいます。将来的には、ステーブルコインとデジタルIDが組み合わさることで、本人確認と決済が同時にできる世界が来るかもしれません。


用語ミニ解説

  • ステーブルコイン: 法定通貨(円やドル)に価値を連動させたデジタル通貨(デジタルな図書カードのように、常に決まった価値を持つ)
  • ブロックチェーン: 取引データを分散して記録する技術(みんなで共有する改ざんできない帳簿のようなもの)
  • メガバンク: 日本の3大銀行グループ(三菱UFJ、三井住友、みずほ)のこと
  • セキュリティ・トークン(デジタル証券): 不動産や債券などの資産をブロックチェーン上でデジタル化したもの(不動産の権利書がスマホに入るようなイメージ)
  • Progmat(プログマ): 三菱UFJグループが開発した、デジタル資産の発行・管理プラットフォーム(デジタル証券をつくる工場のようなもの)
  • JPYC: 日本円に連動したステーブルコインを発行するスタートアップ企業
  • 改正資金決済法: 2023年6月施行。ステーブルコインの発行・流通に関するルールを定めた法律
  • デジタルID: 個人の身元情報をデジタル化したもの(スマホに入った運転免許証のようなもの)

Me-Moon編集後記 🌙

「ブロックチェーン」や「ステーブルコイン」と聞くと、まだまだ難しそうに感じるかもしれません。

でも、日本を代表する3つの銀行が、国のサポートを受けながら本気で取り組んでいるという事実は、この技術が「一部の人だけのもの」ではなくなりつつあることを示しています。

すでに、不動産のデジタル証券化では314億円規模の案件が動いています。ステーブルコインの法整備でも、日本は世界をリードしています。

「自分には関係ないかな」と思っていたことが、気づいたら当たり前になっている。インターネットがそうだったように、ブロックチェーンもそんな未来をつくっていくのかもしれません。

Me-Moon Mediaでは、こうした新しい技術の動きを、できるだけわかりやすくお届けしていきます。一緒に、新しい時代を楽しんでいきましょう🌙


元記事・参考リンク

  • ロイター「3メガバンクなど、ステーブルコイン共同発行・検証へ 金融庁が支援」(2025年11月7日)
    https://jp.reuters.com/markets/japan/7JBPH2PH45KHFHJE4NPIABXHLA-2025-11-07/
  • 読売新聞「3メガ銀、ステーブルコインを共同発行へ…三菱商事も参画し社内決済での活用検討」(2025年10月17日)
    https://www.yomiuri.co.jp/economy/20251017-OYT1T50153/
  • 野村総合研究所「メガ3行がステーブルコインを発行へ」(2025年10月20日)
    https://www.nri.com/jp/media/column/kiuchi/20251020.html
  • CoinDesk Japan「国内最大規模、約314億円の不動産セキュリティ・トークンの募集・発行完了」(2025年10月1日)
    https://www.coindeskjapan.com/317046/
  • KPMG「Web3.0の動向と今後の展望:2025年版」(2025年12月19日)
    https://kpmg.com/jp/ja/insights/2025/11/web3-blockchain-11.html