270億ドル突破の急成長市場、主役は「投資信託のブロックチェーン化」?欧州最大手アムンディが始め

3行でわかるこの記事

  • 何が起きた? 欧州最大の資産運用会社アムンディが、Spiko社と共同でブロックチェーン上のトークン化ファンド「SAFO」を始動しました(初期運用コミット額1億ドル)
  • 重要なポイント イーサリアムとステラの2つのブロックチェーン上で運用され、24時間365日、国境を越えてファンドの持ち分を売買できる仕組みです
  • なぜ注目? RWA(現実資産のトークン化)市場が270億ドルを突破し急拡大する中、金融のメインストリームが本格的にブロックチェーンに乗り出した象徴的な出来事だからです

はじめに

270億ドル(約4兆円)超。これは2026年3月時点で、「現実の資産」がブロックチェーン上でトークン化されている市場の総額です(ステーブルコインを除く)。2025年初頭には約60億ドルだったこの市場は、わずか1年あまりで4倍以上に膨れ上がっています。

「トークン化って何? なんだか難しそう…」

そう感じた方もいるかもしれません。でも実は、やっていることはシンプルです。「投資信託の持ち分を、ブロックチェーンに記録する」。ただそれだけのことが、金融の世界を静かに、でも確実に変え始めています。

この記事では、次の3つの疑問に答えていきます。

  • アムンディの「SAFO」って何?従来の投資信託と何が違うの?
  • なぜブロックチェーンに乗せる必要があるの?
  • 日本の投資家にも関係あるの?

ひとことで言うと

欧州最大の資産運用会社アムンディが、投資信託をブロックチェーン上で運用する「SAFO」を始動しました。24時間365日、世界中どこからでも売買可能な次世代ファンドの幕開けです。ここからは、その仕組みと意義を順番に見ていきましょう。

知っておきたいアムンディの基本

アムンディ(Amundi)は、フランスに拠点を置く欧州最大の資産運用会社です。管理資産残高は約2兆ユーロ(約340兆円)を超え、世界でもトップクラスの規模を誇ります。

たとえるなら、「金融界のトヨタ」のような存在。個人投資家から年金基金、保険会社まで、幅広い顧客の資産を運用しています。

この超大手が「ブロックチェーンのファンド」に本格参入したことの意味は、非常に大きいと言えます。

「SAFO」の仕組みを「24時間営業の投資信託」でたとえると

SAFO(Spiko Amundi Overnight Swap Fund)は、アムンディがフィンテック企業Spiko社と共同で立ち上げたトークン化ファンドです。

従来の投資信託との3つの違い

違い① 24時間365日取引できる
従来の投資信託は、銀行や証券会社の営業時間内でしか売買できませんでした。SAFOでは、ファンドの持ち分がブロックチェーン上のトークンとして記録されるため、土日も深夜も、世界中どこからでも売買(譲渡)が可能です。

コンビニが営業時間の制限をなくしたように、投資信託の世界にも「24時間営業」が到来したイメージです。

違い② 複数の通貨に対応
SAFOは、ユーロ、米ドル、英ポンド、スイスフランの4つの法定通貨に対応しています。しかも最低1通貨単位から申し込めるため、小額から始められるのが特徴です。

違い③ すべての記録がブロックチェーンに残る
株主名簿はイーサリアムとステラの2つのブロックチェーンに記録されます。さらに、ファンドの純資産価値(NAV)はChainlinkのインフラを使ってオンチェーンで公開されるため、透明性と正確性が担保されています。

たとえるなら、ファンドの「通知表」が誰でも見られる場所にリアルタイムで掲示されているような仕組みです。

なぜ今、「投資信託のブロックチェーン化」なのか?

「別に今のまま使えているなら、わざわざブロックチェーンに乗せなくてもいいのでは?」

たしかにそう思えるかもしれません。でも、金融機関にとっては大きなメリットがあります。

メリット① 事務コストの削減。 従来の投資信託では、名義書換や決済に何日もかかり、膨大な事務処理が発生していました。ブロックチェーンならこれが即時・自動化できるため、運用コストが劇的に下がる可能性があります。

メリット② 資金効率の向上。 担保管理やキャッシュマネジメントにおいて、トークン化された資産は即座に移動・活用できるため、企業や金融機関の資金効率が上がります。SAFOはまさにこの用途のために設計されています。

メリット③ グローバルなアクセス。 国や時間帯を問わずにファンドの持ち分を移転できるため、グローバルな機関投資家にとって利便性が大きく向上します。

RWA市場の急拡大と日本市場への影響

現実資産のトークン化(RWA: Real World Assets)は、2026年の金融業界で最も注目されているトレンドの一つです。

Me-Moon Mediaでもこのテーマを継続的にお伝えしてきました。SECによるナスダックのトークン化証券承認では「株式がブロックチェーンで取引される時代」が始まりました。SECとCFTCの暗号資産5分類指針では、暗号資産の法的位置づけが明確化されました。

そして今回のSAFOは、「なんでもトークン化できる技術」が、実際に巨額の資産運用で使われ始めたことを意味しています。

日本でも、金融庁がデジタル証券(セキュリティトークン)の規制整備を進めており、SBI証券やみずほ銀行などの大手金融機関がトークン化商品を展開しています。アムンディのような世界的プレイヤーの参入は、日本の金融機関にとっても「置いていかれないための刺激」になるかもしれません。

用語ミニ解説

  • トークン化ファンド: 投資信託(ファンド)の持ち分をブロックチェーン上のデジタルトークンとして記録・管理する仕組み。売買や名義書換が24時間自動で行える(「投資信託のデジタル株券」のイメージ)
  • RWA(Real World Assets): 不動産、国債、投資信託など、実世界に存在する資産をブロックチェーン上でトークン化すること。2026年の金融業界で最もホットなテーマの一つ(「リアルの資産にデジタル背番号をつける」イメージ)
  • イーサリアム / ステラ: いずれもブロックチェーンの名前。イーサリアムはDeFiやNFTで圧倒的シェアを持つ最大手。ステラは国際送金やデジタル通貨に強い(「デジタル資産が走る2本の高速道路」のイメージ)
  • Chainlink: ブロックチェーンの外にあるデータ(株価、為替レートなど)をブロックチェーンに安全に取り込む「橋渡し役」のサービス(「ブロックチェーン界の通訳」のイメージ)
  • NAV(純資産価値): ファンドが保有するすべての資産の時価総額から負債を差し引いた値。1口あたりのNAVがファンドの「値段」を示す(「ファンドの体重測定」のイメージ)

Me-Moon編集後記 🌙

「投資信託をブロックチェーンに載せる」と聞くと、技術的な話のように思えます。でも本質は意外とシンプルで、「24時間365日、誰でも、どこからでも、安全にお金を動かせるようにする」ということ。

面白いのは、いちばん保守的だと思われていた金融の世界が、気づけばブロックチェーンを「当たり前のインフラ」として使い始めていること。アムンディのような超大手が動くと、後に続く金融機関も増えるでしょう。

「投資信託」と「ブロックチェーン」。この2つの言葉が自然に並ぶ時代が、静かに始まっています🌙

参考リンク

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監修者

小宮 滉

コインチェック株式会社を経て、現在はGUILD株式会社および一般社団法人Web3人材マネジメント協会の代表理事を務める。

Web3・仮想通貨分野では、「NGG(NinjaGuild_Japan)」というコミュニティの運営や、「IVS Crypto THE DEMODAY」MetaMeトラックでの優勝など、多くの実績を有する。

また、AI・ブロックチェーン開発を強みとしたDXサービスを提供し、企業の成長を支援します。AI・ブロックチェーン技術との統合を通じて、DX体験をシームレスに実現し、ユーザーと企業の双方に新たな価値を創出することを目指して、開発支援やマーケティングを行っております。

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