3行でわかるこの記事
- 何が起きた? 米大手暗号資産取引所Coinbaseと住宅ローン会社Betterが提携し、ビットコインを担保に住宅ローンを組めるサービスを発表しました
- 重要なポイント 暗号資産を売却せずに家の頭金にできるため、将来の値上がりチャンスを逃さずに住宅購入が可能になります
- なぜ注目? 米政府支援機関ファニーメイが裏付けるローンで、暗号資産が「正式な資産」として住宅市場に認められた象徴的な出来事です
はじめに
年間いくら家賃を払っていますか?
「家を買いたいけど頭金が足りない」「ビットコインを持っているけど、今売ると税金がかかるし、値上がりするかもしれないし…」。こんなジレンマを抱えている人に、面白いニュースが飛び込んできました。
2026年3月26日、アメリカの大手暗号資産取引所Coinbase(コインベース)と住宅ローン会社Better(ベター)が発表した新サービスでは、ビットコインを売らずに住宅ローンの頭金として使えるようになります。
この記事では、以下のことを解説していきます。
- 暗号資産で家が買えるってどういうこと?
- 売らずに担保にする仕組みの裏側
- 日本への波及はあるのか?
ひとことで言うと
Coinbaseに預けているビットコインやUSDCを「担保」として差し入れることで、暗号資産を売却せずに住宅ローンの頭金を確保できるようになりました。ここからは、その仕組みと意味を順番に見ていきましょう。
暗号資産を売らずに家を買う、その仕組み3ステップ
「担保にする」と言われても、具体的にどうやるの?と思いますよね。仕組みはシンプルで、3つのステップで完了します。
ステップ1: CoinbaseにあるBTCやUSDCを「担保口座」に移す
Coinbaseの取引口座にあるビットコイン(BTC)やUSDコイン(USDC)を、APIを通じてBetter社が管理する専用の受託口座に移します。これが「担保」になります。
ステップ2: Better社がローンを組成する
担保として差し入れた暗号資産の価値をもとに、Better社が住宅ローンを組んでくれます。頭金の部分を暗号資産でカバーできるイメージです。
ステップ3: 毎月の返済を普通に続ける
あとは通常の住宅ローンと同じく、毎月の返済を続けるだけ。暗号資産は担保として預けたままですが、あなたの資産であることに変わりはありません。
ポイントは、暗号資産を「売っていない」こと。売却していないので、キャピタルゲイン税(利益にかかる税金)が発生しません。しかも、預けている間にビットコインの価格が上がれば、その恩恵も受けられます。
たとえるなら、金の延べ棒を銀行に預けて、その価値を頭金の証明に使いながら、金そのものは手放さない。そんな仕組みです。
「暴落したらどうなる?」心配な人のための安全設計
「でも、ビットコインが暴落したら担保が足りなくなるんじゃ…?」
これは当然の心配です。でも、今回のサービスには安心できる設計が組み込まれています。
即座のマージンコール(追加担保請求)はありません。 従来の金融の担保ローンでは、担保の価値が下がると「すぐに追加資金を入れてください」と求められることがありました。しかし、この住宅ローンでは、市場の変動だけで即座に担保を清算されることはありません。
担保が清算されるのは、60日以上の支払い延滞が発生した場合のみ。 つまり、毎月の返済をきちんと続けている限り、ビットコインの価格が一時的に下がっても問題ないのです。
さらに、このローンはファニーメイ(連邦住宅抵当公庫)の裏付けがある「適格住宅ローン」です。ファニーメイはアメリカ政府が支援する機関で、住宅ローンの標準的な品質基準を定めています。暗号資産を担保にしたローンがこの基準を満たしたことは、暗号資産が「ちゃんとした資産」として制度的に認められた証拠と言えます。
Coinbase Oneメンバーなら最大約150万円のキャッシュバック
嬉しい特典もあります。Coinbaseのメンバーシップ制度「Coinbase One」の会員であれば、住宅ローン契約時にローン額の1%(最大1万ドル、約150万円)のキャッシュバックを受けられます。
住宅購入は人生最大の買い物の一つ。その1%が戻ってくるのは、かなり大きなインセンティブです。
日本への影響は? 暗号資産×住宅の可能性
「面白い話だけど、これってアメリカの話でしょ?」
確かに、今回のサービスはアメリカ国内限定です。しかし、日本への波及効果はゼロではありません。
日本では2028年1月から暗号資産の税制が申告分離課税(税率20.315%)に移行する方針が固まっています。現在の最大55%の総合課税から大幅に軽減されるこの改正は、暗号資産を「投機の対象」ではなく「正式な金融資産」として位置づける流れの一環です。
アメリカで暗号資産担保の住宅ローンが定着すれば、日本の金融機関も同様のサービスを検討する可能性があります。実際に、ソニー銀行がステーブルコイン事業者JPYCと提携するなど、日本でも銀行とブロックチェーンの距離は着実に縮まっています。
用語ミニ解説
- Coinbase(コインベース): 2012年設立のアメリカ最大手の暗号資産取引所。2021年にNASDAQに上場した信頼性の高い企業。(「暗号資産界のメガバンク」のイメージ)
- ファニーメイ(連邦住宅抵当公庫): アメリカ政府が支援する住宅金融機関。住宅ローンの品質基準を定め、市場に流動性を提供している。(「住宅ローンのお墨付きを出す機関」のイメージ)
- USDC(USDコイン): Circle社が発行するドル連動型ステーブルコイン。1USDC = 1ドルの価値を維持するよう設計されている。(「デジタル版のドル紙幣」のイメージ)
- キャピタルゲイン税: 資産を売却して得た利益にかかる税金。暗号資産を売らずに担保にすれば、この税金の発生を先送りできる。(「売ったときの利益にかかる税金」のイメージ)
- 申告分離課税: 他の所得と分離して一律の税率で課税する方式。日本では暗号資産に2028年から適用予定で、税率は20.315%。(「株と同じ税率で課税しますよ」という仕組み)
Me-Moon編集後記 🌙
「ビットコインで家が買える」。数年前なら冗談にしか聞こえなかった話が、アメリカ政府支援機関のお墨付きつきで現実になりました。
個人的に感心したのは「暴落しても即座に担保を取られない」という設計です。暗号資産のボラティリティ(価格変動の大きさ)を理解した上で、それでも住宅ローンの担保として使えるようにした。金融サービスとして、かなり成熟した設計だと感じます。
日本でも、暗号資産の税制改正が2028年に控えています。「暗号資産は怪しい投機もの」から「普通の金融資産」へ。その認識の変化は、案外早く私たちの暮らしにも届くのかもしれません🌙
参考リンク
- BetterとCoinbase、トークン担保型適格住宅ローンを開始 — Yahoo!ファイナンス, 2026年3月26日
- ビットコインを売らずに家が買える? コインベース仮想通貨住宅ローンの仕組みを解説 — CoinPost, 2026年3月26日
- Better and Coinbase Launch the First Token-Backed Conforming Mortgage — Better.com IR News, 2026年3月26日
