3行でわかるこの記事
- 何が起きた? SBI VCトレードが2026年3月19日、国内のライセンス業者として初めてステーブルコイン「USDC」を使ったレンディング(貸出)サービスを開始しました
- 重要なポイント 開始記念キャンペーンでは12週間満期で年率10%。一般的な米ドル外貨定期預金(年率0.01〜4%程度)を大きく上回る利回りです
- なぜ注目? ステーブルコインが「送金や決済の道具」から「資産運用の手段」へと進化し、暗号資産の新しい使い方が日本で始まったからです
はじめに
年率0.30%。2026年2月にメガバンク3行が一斉引き上げを行い、日本の大手銀行の普通預金金利は過去最高水準に達しました。それでも100万円を預けて受け取れる利息は年間約3,000円。ランチ2回分ほどでしょうか。
「お金を増やす方法って、もっとないの?」
そう思ったことがある方もいるかもしれません。もちろん投資にはリスクが伴いますが、2026年3月19日に始まった新しいサービスが、暗号資産の世界に新しい選択肢を生み出しています。
この記事では、次の3つの疑問に答えていきます。
- SBI VCトレードの「USDCレンディング」って何?
- なぜ年率10%という高い利回りが可能なの?
- リスクや注意点は?
ひとことで言うと
米ドルに連動するステーブルコイン「USDC」をSBI VCトレードに貸し出すと、利回りを受け取れる新サービスが国内で初めてスタートしました。開始記念では年率10%、通常時でも年率5%程度を予定しています。
そもそも「USDC」って何?
USDCの話に入る前に、「ステーブルコイン」という言葉をおさらいしましょう。
ステーブルコインとは、ドルや円などの法定通貨に価値を連動させることで、価格が安定するように設計された暗号資産のことです。ビットコインやイーサリアムのように価格が大きく上下する暗号資産とは異なり、「1 USDC ≒ 1米ドル」という関係が保たれるようになっています。
たとえるなら、「デジタルの米ドル預かり証」のようなもの。あなたが持っているUSDCの裏側には、それに見合うだけの米ドルや米国債が準備されていて、いつでも1ドルと等価で交換できる仕組みです。
USDCを発行しているのは、2025年に大型IPOを果たした米国のCircle社。世界中で広く利用されており、時価総額は約790億ドル(約12兆円)に達する世界第2位のステーブルコインです。
先日のMe-Moon記事でご紹介したソニー銀行×JPYCの提携は日本円ベースのステーブルコインでしたが、今回はその米ドル版ともいえるサービスです。
USDCレンディングの仕組みを「貸本屋」でたとえると
「レンディング」とは、文字通り「貸し出す」こと。USDCレンディングは、あなたが持っているUSDCをSBI VCトレードに一定期間貸し出し、その見返りとして利用料(賃借料)を受け取る仕組みです。
これを身近なもので説明すると、「デジタルの貸本屋さん」のようなイメージです。
あなたが持っている本(USDC)を貸本屋(SBI VCトレード)に預けると、貸本屋はその本を必要としている人に貸し出して収益を得ます。その収益の一部が、レンタル料としてあなたに戻ってくるわけです。
サービスの主な条件
SBI VCトレードの公式発表とCoinPostなどの報道をもとに、主な条件をまとめます。
開始記念キャンペーン(当初募集)
- 満期: 12週間
- 年率: 10%
- 上限: 1回の募集につき1口座あたり5,000 USDC(約79万円相当)
通常時(キャンペーン終了後)
- 年率: 5%程度を予定
- 一般的な米ドル外貨定期預金(年率0.01〜4%程度)を上回る水準
年率10%が実現できる理由
「年率10%」と聞くと、「怪しいのでは?」と身構える方もいるかもしれません。実際、投資の世界では「高い利回りには高いリスクがある」のが原則です。
今回の年率10%は「サービス開始記念のキャンペーン価格」であり、通常時は年率5%程度に落ち着く予定です。これはSBI VCトレードが新しいサービスの認知を広げるために、当初の利回りを高めに設定しているものと考えられます。家電量販店の「新装オープン記念セール」のようなものですね。
通常時の年率5%も、大手銀行の米ドル外貨定期預金と比較すると魅力的な水準です。この利回りは、SBI VCトレードが借りたUSDCを運用して得た収益から支払われます。
知っておくべき3つのリスク
メリットだけを伝えるのはフェアではありません。USDCレンディングにはいくつかのリスクがあります。
リスク① 途中解約ができない
満期は12週間(約3か月)で、原則として途中解約はできません。「急にお金が必要になった」という場合でも、満期まで待つ必要があります。
リスク② 分別管理の対象外
貸し出したUSDCは、資金決済法に基づく分別管理の対象外です。たとえるなら、銀行の預金保険に相当する保護がないということ。万一SBI VCトレードが破綻した場合、USDCが返還されないリスクがあります。
リスク③ 税金がかかる
USDCレンディングの収益は雑所得として総合課税の対象になります。年間の雑所得が20万円以下であれば確定申告が不要になるケースもありますが、税制上の取り扱いは個人の状況によって異なるため、事前に確認しておくことが大切です。
ステーブルコインの「使い方」が広がっている
今回のUSDCレンディングは、ステーブルコインの用途が「送金」や「決済」から「資産運用」へと広がっていることを象徴するサービスです。
Me-Moon Mediaでも、ステーブルコインに関連するニュースを継続的にお伝えしてきました。
- ソニー銀行×JPYCの提携では「銀行とステーブルコインの融合」
- LINE NEXTのUnifiウォレットでは「LINEからステーブルコインを使える世界」
- SBI VCトレードのTON/SUI上場では「暗号資産の選択肢の拡充」
そして今回は「ステーブルコインで利回りを得る」という新しい選択肢が加わりました。日本の暗号資産業界は、着実に進化を続けています。
用語ミニ解説
- ステーブルコイン: ドルや円のような法定通貨に価値が連動するよう設計された暗号資産。ビットコインのように価格が大きく動かないのが特徴(「デジタルの預かり証」のイメージ)
- USDC(USD Coin): 米国Circle社が発行する米ドル連動型ステーブルコイン。世界第2位の時価総額を持つ(「デジタル米ドル」のイメージ)
- レンディング: 暗号資産を取引所などに貸し出し、利用料(利回り)を受け取る仕組み。銀行の定期預金に近い概念だが、保護制度が異なる(「暗号資産の貸本屋さん」のイメージ)
- 分別管理: 顧客の資産と会社の資産を分けて管理すること。暗号資産取引所には法律で義務付けられているが、レンディングに貸し出した分は対象外になる場合がある(「お金の仕切り壁」のイメージ)
- 雑所得: 給与所得や事業所得に分類されない収入。暗号資産の利益は雑所得に該当し、総合課税の対象になる(「その他の収入カテゴリ」のイメージ)
Me-Moon編集後記 🌙
「国内初のステーブルコインレンディング」。この見出しを見て感じたのは、「暗号資産がまた一歩、ふつうの資産運用に近づいた」ということでした。
もちろん、従来の銀行預金のような保護制度がない点は忘れてはいけません。「高い利回り」と「それに見合うリスク」を天秤にかけて、自分に合った選択をすることが大切です。
でも、ほんの数年前には「ステーブルコインって何?」と首をかしげる人がほとんどだった日本で、金融庁のライセンスを持った業者がこうしたサービスを始めているのは事実。1年後、ステーブルコインが資産運用の当たり前の選択肢になっている世界が、少し楽しみです🌙
参考リンク
- SBI VCトレード、USDCレンディングを国内初提供 当初年率10% — CoinPost, 2026年3月18日
- ライセンス業者として国内初のステーブルコインを活用した「USDCレンディング」開始のお知らせ — SBI VCトレード公式, 2026年3月18日
