3行でわかるこの記事
- 何が起きた? 「商品にAIと書いてあると、むしろ敬遠する」というアメリカの消費者調査が公開されました。
- 重要なポイント 回答した人の60%が、ブランドの宣伝にAIという言葉が入っていると距離を置くと答えました。
- なぜ注目? 売る側が推したい言葉と、受け取る側の気持ちがずれ始めているからです。
はじめに
「AI搭載」「AIがおすすめ」「AIで自動化」。今や、どの商品の宣伝にも当たり前のように並ぶ言葉です。最先端で、便利そうで、思わず目を引く。AIと書けば売れる、と多くの会社が考えてきました。
ところが、その常識が静かにひっくり返り始めているのかもしれません。「AI」と書いてあるほど、お客さんが引いてしまう。そんな調査結果がアメリカで出てきました。便利さを伝えるはずの言葉が、逆に距離を生んでいる。ここがなんとも、今っぽい話です。
この記事では、こんなことを解説していきます。
- 「AI」という言葉が、どれくらい敬遠されているのか
- なぜ、人はAIという言葉に疲れてしまうのか
- それでも、AIそのものが嫌われているわけではない理由
ひとことで言うと
便利さを伝えるはずの「AI」という言葉が、使いすぎで信頼を削り始めています。その背景にある、私たちの正直な気持ちを順番に見ていきます。
「AI」と書くほど敬遠される?調査が示した数字
この調査は、ウェブ関連のサービスを手がけるWordPress VIPという会社が2026年6月18日に公開したものです。アメリカの消費者およそ1,200人に、インターネットやAIとの付き合い方をたずねました。
目を引くのが、回答した人の60%が「ブランドの宣伝にAIという言葉が入っていると敬遠する」と答えた点です。半分を超える人が、AIという売り文句に前のめりになるどころか、一歩引いてしまう。作り手の期待とは、ずいぶん逆の反応です。
ほかにも、考えさせられる数字が並びます。74%の人が「インターネットは10年前より人間味がなくなった」と感じていました。さらに「AIをうまく使えているブランドなんて一つもない」と答えた人も16%いました。AIという言葉そのものが、どこか身構えさせる空気をまといはじめている、と言えそうです。
なぜ、AIという言葉に疲れてしまうの?
理由を考えるうえで、もうひとつ印象的な数字があります。この調査によると、人がAIとのやりとりに疲れを感じ始めるまで、平均でおよそ40分だったといいます。
思い当たる場面はないでしょうか。困って問い合わせをしたのに、最初に出てくるのは自動応答のチャット。聞きたいことがうまく伝わらず、同じ案内が何度も返ってくる。人に代わってほしいのに、なかなかたどり着けない。あの、じわじわ募るもどかしさです。
こうした体験が積み重なると、「AI」という言葉を見ただけで、あのもどかしさを思い出してしまいます。本当は便利な機能だったとしても、看板の出し方ひとつで身構えられてしまう。言葉の使いすぎが、かえって信頼をすり減らしている、というわけです。
でも、AIそのものが嫌われているわけじゃない?
ここで大事なのは、人々がAIを丸ごと嫌っているわけではない、という点です。調査からは、むしろ「正直に見せてほしい」という気持ちが読み取れます。
たとえば、AIがまとめた答えを受け取ったあと、86%の人が「元になった情報をいつも、または時々たしかめる」と答えています。さらに33%の人は、情報のもとがどこかをきちんと示してくれることを、いちばんの安心材料として挙げました。AIを使うこと自体ではなく、こっそり使って人をだまそうとする姿勢に、人は反応しているのかもしれません。
つまり、求められているのは「AIをやめること」ではなく「使い方を正直に見せること」です。便利さを押し売りするより、どこまでがAIで、どこからが人の手なのかを隠さない。その誠実さのほうが、いまは信頼につながりやすいようです。
作り手として、読者として、どう受け止める?
この話は、商品を売る会社だけのものではありません。ブログを書く人、お店を開く人、SNSで発信する人。何かを誰かに届ける場面なら、誰にでも関わってきます。
ポイントは、言葉の華やかさより、相手の体験です。「AI搭載」と大きく書くより、それを使うと毎日がどう楽になるのかを、自分の言葉で正直に伝える。受け取る側に立てば、その違いはすぐに伝わります。
私たち自身も、受け取る側として少し賢くなれます。「AI」という言葉に身構えすぎず、かといって鵜呑みにもせず、もとの情報をひと手間かけてたしかめる。その小さな確認が、これからの情報との付き合い方の基本になっていきそうです。
用語ミニ解説
- 生成AI: 文章や画像などを自動で作り出すAIのこと。便利な一方で、宣伝に使われすぎて言葉が手あかにまみれてきた面もある。(何でも作ってくれる、今いちばん人気の道具)
- ボット疲れ: 自動応答のチャットなど、機械とのやりとりが続いて感じる疲れ。今回の調査では平均約40分で訪れるとされた。(自動応答にうんざりしてくるあの感覚)
- ブランドメッセージ: 会社が商品やサービスを伝えるときの宣伝文句や打ち出し方。(お店の看板やキャッチコピーのこと)
- WordPress VIP: 大きな会社向けにウェブサイトの仕組みを提供する会社。今回の消費者調査を公開した。
Me-Moon編集後記 🌙
便利な言葉ほど、みんなが使うと急に色あせる。「AI」がまさにその入り口に立っている気がして、面白い調査でした。
少し不便でも、人の手で書かれた文章にほっとする瞬間は、確かにあります。あなたは「AI」と書かれた商品を見たとき、わくわくしますか、それとも少し身構えますか🌙
参考リンク
- 消費者の60%がブランドメッセージに「AI」という言葉が含まれていると敬遠する — GIGAZINE, 2026-06-18
- Future of the Web 2026: AI Brand Visibility Research — WordPress VIP, 2026-06-18
- WordPress VIP Argues That Saying “AI” Could Be Costing You Customers — CX Today, 2026-06-18
