国と銀行が本気で動き出した?自民党「オンチェーン金融構想PT」初会合で見えたステーブルコインの未来

3行でわかるこの記事

  • 何が起きた? 自民党が「次世代AI・オンチェーン金融構想プロジェクトチーム」を新設し、2026年3月24日に初会合を開催しました
  • 重要なポイント 三菱UFJ銀行・三井住友銀行・みずほ銀行の3メガバンクが国会議員にステーブルコインの実証実験について報告しました
  • なぜ注目? ブロックチェーン技術が「実験段階」を超えて、国の金融政策に組み込まれる動きが本格化したからです

はじめに

3,000億ドル。これは、2025年末時点でのステーブルコインの世界流通量です。2年前と比べて約3倍に膨らんだこの数字は、デジタル通貨がもはや「実験」ではなくなりつつあることを示しています。

「ブロックチェーンって投機でしょ?使い道なんてあるの?」

そう思う方もいるかもしれません。でも実は今、日本の政治の中枢で、ブロックチェーンを金融インフラに組み込む議論が始まっています。

この記事では、こんなことを解説していきます。

  • 自民党の新しいプロジェクトチームは何を目指しているのか?
  • 3メガバンクのステーブルコイン実証とは?
  • 私たちのお金の送り方・使い方がどう変わる可能性があるのか?

わかりやすくお伝えしますね。

ひとことで言うと

日本の与党・自民党がブロックチェーンとAIを融合させた次世代金融の専門チームを作り、3メガバンクから直接ヒアリングを始めました。これは「ブロックチェーンは国の金融基盤にする価値がある」と政治が認めた瞬間かもしれません。ここからは、その詳細を見ていきましょう。

「次世代AI・オンチェーン金融構想PT」とは?

2026年3月24日に発足したこのプロジェクトチーム(PT)は、AIとブロックチェーン技術を融合させた次世代の金融システムを構築することを目指しています。

座長を務めるのは木原誠二衆議院議員、事務局長は村井英樹元内閣官房副長官。そして発起人には、Web3政策で知られる平将明衆議院議員が名を連ねています。

ポイントは、「オンチェーン」という言葉が正式名称に入っていることです。「オンチェーン」とは、取引の記録をブロックチェーン上に直接書き込むことを意味します。つまり、金融取引そのものをブロックチェーンの上で動かす構想を、国政レベルで議論し始めたということです。

初会合で3メガバンクが報告した「ステーブルコインの実証実験」

初会合で注目を集めたのは、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行という日本の3大銀行が、ステーブルコインの実証実験について直接報告したことです。

ステーブルコインとは、日本円や米ドルといった法定通貨に価値が連動する暗号資産のことです。ビットコインのように値動きが激しくなく、1コイン=1円(あるいは1ドル)という安定した価値を保つよう設計されています。買い物の支払いや海外送金に使いやすい「実用的なデジタル通貨」として注目を集めています。

3メガバンクが目指しているのは「信託型ステーブルコイン」と呼ばれるタイプで、銀行が日本円を信託口座に預け入れ、そのお金を裏付けとしてデジタル通貨を発行する仕組みです。三菱UFJ信託銀行が主導するプラットフォーム「Progmat」が、発行基盤として中心的な役割を担っています。

また、ディーカレットDCPからは「トークン化預金」についてのヒアリングも実施されました。

なぜ銀行がブロックチェーンに本腰を入れるのか?3つの理由

理由1:米ドル建てステーブルコインへの対抗

アメリカの企業が発行するドル建てステーブルコイン(USDCやUSDTなど)が世界中で使われるようになっています。このまま放置すれば、日本国内の決済や送金でもドル建てが主流になりかねない。日本の銀行にとっては、円建てステーブルコインを自ら発行することが「防衛策」になるのです。

理由2:送金・決済のコストと速度

現在の銀行間送金は、複数のシステムを経由するため時間もコストもかかります。ブロックチェーンを使えば、24時間365日、低コストでリアルタイム送金が可能になります。

理由3:法整備が追いついてきた

2023年6月の改正資金決済法により、日本では法定通貨に裏付けられたステーブルコインが「電子決済手段」として正式に定義されました。銀行が安心して参入できる法的基盤が整ったことも、大きな後押しになっています。

PTは「骨太の方針」への反映を目指す

自民党PTは今後、具体的な提言をまとめたホワイトペーパーを作成し、政府の「骨太の方針」への反映を目指すとしています。検討対象はステーブルコインだけにとどまらず、サプライチェーンファイナンス(取引先との資金のやり取り)やカーボンクレジット(CO2排出量の取引)の追跡など、幅広い分野での活用を想定しています。

SBIホールディングスとStartale Groupが共同で開発を進める円建てステーブルコイン「JPYSC」も、2026年4月から6月にかけての発行を目指しており、政策と民間の動きが同時に加速している状況です。

用語ミニ解説

  • オンチェーン: 取引データをブロックチェーン上に直接記録すること。銀行の台帳がデジタルの「みんなで共有するノート」に置き換わるイメージです
  • ステーブルコイン: 法定通貨に価値が連動する暗号資産。「1コイン=1円」のように安定した価値を持つデジタルなお金です
  • 信託型ステーブルコイン: 銀行が実際のお金を信託口座に預けて、そのお金を裏付けにして発行するステーブルコイン。裏付けがあるので安全性が高いとされています
  • Progmat: 三菱UFJ信託銀行が主導するデジタル資産の発行・管理基盤。日本のセキュリティトークンの累計発行額2,269億円を支えるプラットフォームです
  • 骨太の方針: 政府が毎年まとめる経済財政運営の基本方針。ここに盛り込まれると、予算配分や法整備が具体的に動き出します

Me-Moon編集後記 🌙

「政治家がブロックチェーンの話をしている」と聞くと、少し不思議な感覚を覚える方もいるかもしれません。でも考えてみれば、お金の仕組みを決めるのは、最終的には政治と法律の役割です。3メガバンクが国会議員の前でステーブルコインの実証実験を報告する光景は、ブロックチェーンが「テック業界の話題」から「国の金融インフラの候補」へと、静かに格上げされたことを意味しています。

もちろん、実際にステーブルコインが私たちの日常に届くまでには、まだ時間がかかるかもしれません。でも、1年後にLINEやPayPayで「円建てステーブルコイン」が使えるようになっていたとしても、もう驚く話ではないのかもしれません。

「お金のかたち」が変わり始めている。その起点が、今回の初会合だったと振り返る日が来るかもしれませんね🌙

参考リンク

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監修者

小宮 滉

コインチェック株式会社を経て、現在はGUILD株式会社および一般社団法人Web3人材マネジメント協会の代表理事を務める。

Web3・仮想通貨分野では、「NGG(NinjaGuild_Japan)」というコミュニティの運営や、「IVS Crypto THE DEMODAY」MetaMeトラックでの優勝など、多くの実績を有する。

また、AI・ブロックチェーン開発を強みとしたDXサービスを提供し、企業の成長を支援します。AI・ブロックチェーン技術との統合を通じて、DX体験をシームレスに実現し、ユーザーと企業の双方に新たな価値を創出することを目指して、開発支援やマーケティングを行っております。

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