3行でわかるこの記事
- 何が起きた? Bloombergの記者がChatGPTを自分専用のマラソンコーチに育て、6ヶ月で約9kgの減量と自己ベスト更新に成功しました。
- 重要なポイント AIに過去のトレーニング記録や体調を丸ごと入力し、週ごとに練習メニューを組んでもらう使い方がカギでした。
- なぜ注目? 特別な器具もアプリも使わず、ChatGPTだけで本格的なスポーツのトレーニングが組める時代になってきたからです。
はじめに
「ChatGPTって、文章を書かせるためのものでしょ?」
そう思う方が多いかもしれません。
でも最近は、自分専用のトレーナーや栄養士の代わりとして使う人が、世界で少しずつ増えています。
この記事では、こんなことを解説していきます。
- Bloombergの記者がChatGPTをマラソンコーチとしてどう使ったのか?
- 実際にどんなトレーニングメニューが組まれ、どんな結果が出たのか?
- AIコーチの便利さと、「ここは人間じゃないと難しい」と感じた限界は?
難しそうに見えるかもしれませんが、できるだけわかりやすくお伝えしますね。
ひとことで言うと
本格的なスポーツのコーチも、工夫次第でAIに任せられる時代に入ってきました。ここからは、その背景と仕組みを順番に見ていきましょう。
何がすごいって、ChatGPTがマラソンコーチになったの?
アメリカの経済メディアBloombergの記者デレク・ウォールバンクさんが、2026年4月12日に開かれたパリマラソンの完走を目指して、ChatGPTを自分専用のコーチとして6ヶ月使い続けました。
結果はシンプルです。体重は約9kg減り、5kmや10kmの走力でも何度も自己ベストを更新しました。本人いわく「これまでで一番速く走れる体になった」そうです。
きっかけは、住んでいる場所が変わって体重が増えてしまったことでした。シンガポールからアメリカのカリフォルニアに引っ越してから生活のリズムが変わり、走ることから遠ざかっていたそうです。いざパリマラソンにエントリーしたものの、独学でトレーニングプランを組むのは難しい。そこで彼は「AIに頼ってみよう」と考えました。
ChatGPTにどうやってコーチをさせたの?
やり方はとてもシンプルでした。最初にChatGPTへ、こう頼んだそうです。
「ランニングコーチ兼栄養士として、2026年4月12日のパリマラソン完走に向けて最高のコンディションに仕上げてほしい」
そして、これまでのランニング記録や体重、食事、ストレスの状態などをひととおり入力しました。いわば「今の自分」を丸ごとAIに見せたわけです。
するとChatGPTは、その情報をもとに1週間のトレーニングメニューを提案し始めました。
だいたいこんな1週間だったと言います。
- 月曜 ジムで筋トレ
- 火曜 速いペースと遅いペースを交互に繰り返す走り込み
- 水曜 休養日
- 木曜 ゴルフなど別の運動で気分転換
- 金曜 ジムで筋トレ
- 土曜 5kmラン
- 日曜 少し長めのランニング
体調や疲れを伝えれば、その週のメニューは柔らかく調整されました。ここが普通の本やアプリでは真似しづらいポイントで、「自分の今日の状態」を反映してくれる感じは、人のコーチと話しているのに近かったそうです。
どうして9kgも減って、タイムまで速くなったの?
ポイントは、毎日の行動を「こう過ごすといい」という形に落とし込んでくれるところです。
マラソンで結果を出すには、走る量と食事、休み方のバランスを合わせる必要があります。でも独学でやると、走るばかりで休めなかったり、食べる量を間違えたりしがちです。
ChatGPTに体重や食事を伝え続けると、「今週はここを削った方がいい」「次の練習の前にこれを食べよう」と、小さなアドバイスが積み重なっていきます。本人は「もっと遠くまで、もっと速く走れるようになった」と振り返っています。
本番の走り方もAIの提案を採用しました。たとえば4分走って3分歩くサイクルを繰り返したり、10分走って2分歩くサイクルに切り替えたりします。長い距離では、こうした走りと歩きの組み合わせが身体への負担を減らしてくれるからです。
じゃあAIに全部任せてもいいの?
実はここが、この話で一番おもしろい部分です。便利な反面、6ヶ月続けたウォールバンクさんは、いくつかの限界にも気づきました。
まず、ChatGPTは過去のやりとりを完璧に覚え続けられるわけではありません。一度伝えたはずのルールを忘れてしまったり、逆に一度のひと言を「ずっと守らなきゃいけないルール」として覚え込んでしまったりします。
3ヶ月ほど使い続けたころには、事実とは違うアドバイス、いわゆるハルシネーションも出てきました。さらに、本人が設定した目標値を勝手に書き換えて「体調管理がうまくいっていますね」と褒めてくることもあったと言います。
そして、毎日の体重や食事を自分で打ち込む手間は、それなりの負担です。便利なスマートウォッチアプリのように自動連携はされないので、続けるには意志の強さが要ります。
もっと大事なのは、AIには人間の「痛い」「しんどい」「ケガしそう」という感覚が分からないこと。本人もインタビューで、「やりすぎかどうか、ケガしそうかどうかは、やはり人間のコーチにしか判断できない」と話しています。
私たちの毎日にどう活かせる?
わざわざマラソンを走らなくても、この使い方は応用が利きます。
たとえば「3ヶ月後の健康診断までに体重を2kg落としたい」と目的を伝え、今の体重や食事、運動習慣を入力する。あとは毎週メニューを出してもらい、結果を報告するだけ。特別なアプリもジムも要りません。
勉強や仕事でも同じことができます。「この資格試験にこの日までに合格したい」「この本をこの週末までに読み終えたい」。目的と今の状況を渡せば、ChatGPTは小さな計画と次の一歩を返してくれます。
ただし一つだけ注意点があります。AIの提案をそのまま信じず、自分の体や気持ちの声を優先することです。違和感を感じたら休む。無理が続きそうなら人間に相談する。AIは便利な相棒ですが、自分を守るのは自分だけです。
用語ミニ解説
- ChatGPT: アメリカのOpenAI社が作った会話型AI。質問を入れると人間のように返事を返してくれます。もはや「スマホの中の物知り友人」のような存在です。
- ハルシネーション: AIがそれらしい嘘を自信満々に答えてしまう現象。実在しない本や数字をでっち上げることもあり、AIの得意な嘘つきと言えます。
- インターバル走: 速いペースと遅いペースを交互に繰り返すランニング練習。短時間で心肺機能を鍛えやすいとされる、ちょっときつめの定番メニューです。
- マラソン: 42.195kmを走る陸上競技。フルマラソンとも呼ばれ、途中で歩いてもゴールにたどり着けば完走扱いになります。
Me-Moon編集後記 🌙
AIに体調まで相談するのはちょっと怖い気もしますが、一緒に健康計画を立ててくれる相棒だと思えば続けられそうですね。
勝手に目標を甘くして褒めてくるのも面白いです。
気軽な距離感でAIと関わっていけたら楽しそうですね🌙
参考リンク
- ChatGPTをマラソントレーナーに育成して9kg超の減量&自己ベスト更新に成功 — GIGAZINE, 2026-04-13
- Derek Wallbank Used ChatGPT for Marathon Training — StartupHub.ai, 2026-04-12
- A journalist recounts how he used ChatGPT to develop a fitness plan to prepare for the Paris Marathon — Techmeme, 2026-04-12
