プロフィール
Alex Tsai(アレックス・ツァイ)
Horizon株式会社 代表取締役CEO。楽天グループにて広告管理や特集制作を担当し、AI(自然言語処理)を活用した購買ページの起案でMVPを受賞。退職後に宿泊事業を起業し年商6億円まで成長させた後、2017年に事業を譲渡。2018年にはブロックチェーン技術を用いたITシステム会社を創業(事例がMITスローン・スクールでも紹介)。2022年2月、Horizon株式会社を設立。香りをデジタルストリーミングで配信するサービス「Scentdays」と専用デバイス「Scent Gem」を開発し、特許(第7598522号)に基づくブロックチェーン/NFT技術で香りデータの真正性(本物であること)を保証する仕組みを構築している。
Eric Yap(エリック・ヤップ)
Universal Scent Technology(シンガポール)のCEOとして、日本のイノベーションと東南アジア市場が交わる場所で事業を率いる、数少ない実務家のひとりである。
慶應義塾大学を卒業後、約10年にわたり、その二つをつなぐ「架け橋」を築いてきた。日本がどのように未来を設計し、ASEANがそれをどう受け入れていくのかを、その両側から学んできた。いまその仕事は、ひとつの確信に集約されている。すなわち、嗅覚こそ、いまだデジタル化されていない人類最後の感覚である、ということだ。視覚も聴覚も、すでに何世代も前にその一歩を踏み出した。だが記憶と感情に最も近い「香り」だけは、まだその一歩を踏み出していない。エリックのビジョンは、この空白を埋めること。そして東南アジアを、世界で「最後」ではなく「最初」にそれが起こる場所のひとつにすることだ。彼はこの地域を、追随する市場ではなく「出発点」として捉え、その未来が築かれつつあるシンガポールとマレーシアを拠点としている。
始めに
今回は、香りのデジタルストリーミングサービス「Scentdays」を手がけるHorizon株式会社CEO・Alex Tsaiさんさんと、SCENTトークンの経済圏を手がける Universal Scent Technology CEO・Eric Yapさんに、それぞれお話を伺いました。
「テレビからなぜ匂いがしないのか」。そんな素朴な疑問から始まった香りのデジタル配信は、ブロックチェーン技術で香りの真正性を保証し、専用デバイスで100万通り以上の香りを再現するという、世界でも類を見ない事業へと進化しています。そして、その事業の成長と連動するトークン経済圏を、別会社の Universal Scent Technology が設計・運営しています。
「実体のある事業」と「それを支えるトークンの仕組み」。役割の異なる2社の代表に、ビジネスの「原理原則」を軸にしたそれぞれの哲学を伺いました。
「中身のない世界」は絶対やらない
まず Alexさんに伺います。Scentdays はブロックチェーンやNFTといった技術も取り入れていますが、技術そのものが目的ではないんですよね。
Alex: 考え方として、仕組みや“通貨的なもの”だけがある状態って無意味なんですよ。楽天に当てはめると分かりやすくて。楽天ポイントは楽天市場という実需要があるから成り立つわけで、そんなの当たり前じゃないですか。
でも世の中には、中身の事業がないのに“ポイント”や“トークン”だけが先行しているものが多い。みんなで同じTシャツを着てワイワイやる、サークルみたいなもの。でも事業の実体がないと、誰にも経済的なメリットがない。そういうものはみんな飽きて、だんだん廃れていきます。
だから僕は、実体のない“ポイントだけの世界”は絶対やらないんですよ。
では、Alexさんが力を注いでいる「実体のある事業」とは何に当たるのでしょうか。
Alex: Scentdaysです。香りをデジタルで配信するこのサービスそのもの。僕らHorizonがやるのは、この“実需要”をきちんと作ること。技術はあくまでそれを本物として届けるための裏付けで、目的ではありません。
テレビから匂いがしない不思議さ、そしてコロナの転機
Scentdaysの構想は、いつ頃から始まったのですか。
Alex: 5年前ですね。もともと僕は「テレビから匂いがしたら面白いだろうな」とずっと思っていたんです。やるには匂いをデジタル化して送る技術が必要で、プリンターみたいに匂いのもとで印刷するような仕組みはないかなと想像していました。
ちょうどコロナの時に世の中がガラッと変わって。ナイキやシャネルといった一流ブランドがデジタル上で靴やTシャツを出し始めたんです。彼らってコピーが大嫌いじゃないですか。偽物のブランド品に激怒するような人たちが、デジタルアイテムに参入した。
なんでそれができるようになったのか調べていくと、ブロックチェーンとNFTの技術を使っている。一流ブランドがこの技術を採用し始めたということは、香りのデジタルデータの配信にも使える。僕らのプラットフォームをブロックチェーンで構築すれば、偽物は現れない。本物の香りデータを配信できるロジックが立つなと。そこで腹落ちして、事業化しようと決めました。

楽天仕込みのマーケティングと“データを先に届ける”戦略
マーケティング面では、どんな工夫をされたのですか。
Alex: 僕はもともと楽天にいたので、ユーザー獲得やエンゲージメント設計のプロなんです。事業をやるならその知見は当然フルに使う。ただ大事なのは、施策はあくまで“実体のある事業”を伸ばすための手段で、それ自体が目的ではないということです。
もう1つ大きかったのは、ディフューザーの製造に時間がかかることが分かっていたこと。ITと違ってものづくりは1年以上かかる。会社として1年も2年も売上が立たないのは不健全です。そこで考えたのが、デバイスは売れないけど、配信する香りのデータなら先に届けられるんじゃないか、と。アプリを先に作ってベータ版をリリースし、香りのデータだけをNFT(非代替性トークン)として先行販売する戦略です。
その香りのデータを買う人って、一体誰なんでしょうか。
Alex: 「プロジェクトを応援する」という文化があるWeb3のコミュニティの方々に向けて、NFTとして販売しようと考えました。新しいものづくりを面白がって、初期から支えてくださる層ですね。そういう方々に届けることで、実際の売上が立ち、製品開発を進める原資になっていく。
「ビットコインの匂い」が売れた理由
香りのNFTとしては、具体的にはどんなものを発行されたのですか。
Alex: これはマーケティングの原理原則になるんですけど。たとえばヒカルさんのお客さんはヒカルさんが好きだからヒカルさんが出すものを全部買うわけですよ。
じゃあWeb3の人たちにとってのアイコン的存在は何なのか。彼らが信じているものは何だろうか。ビットコインです。だからビットコインの匂いを作りました。
ビットコインの匂い!それは面白いですね。
Alex: 暗号資産の銘柄って、僕から見るとアイドルグループみたいなものなんですよ。それぞれにファンがいる。あとはグラビアアイドルとコラボして、その香りを1万円で5回しか嗅げない限定NFTとして販売しました。これも売れました。価格帯が適切なのか、限定数がワークするのか。全部テスト検証を兼ねていたんです。
Web3、Web2.5、そしてWeb2へ。段階的な市場拡大戦略
市場へのアプローチは、どう進めているのですか。
Alex: 顧客を一気に広げるのではなく、段階的に届けています。まずは新しい技術を面白がってくれるWeb3のアーリーアダプター層。次に、クリプトには詳しくないけれど新しいもの好きな“Web2.5”とでも呼ぶべき層。そして最終的にはごく一般のユーザー、つまりWeb2 へ。
段階を分ける理由は、PDCAを回すためです。実際に届けてみると、こちらが2年間ずっと説明してきたつもりでも「え、そこから分からないの?」という質問がたくさん来る。だったら本ローンチまでに、そうしたFAQを全部ホームページに用意しておけばいい。各段階はすべてテスト検証なんです。
そこまで計算されて動いていたんですね。
Alex: 分かってやっていました。一つひとつの施策がテスト検証であり、次の段階のための学習なんです。
6社目でようやく実現したディフューザー開発
開発や運営で、特に大変だったエピソードはありますか。
Alex: ディフューザーの製造に関しては、今回の製品は6社目なんです。これまで5回断られたり、途中で「できません」と言われたり、製造パートナーが倒産したこともあります。
ものづくりって一回やると1年かかるんです。5社で失敗しているということは、5年伸びているわけです。しかも1年間会社を運営するのに5,000万円から1億円かかる。
5社目と6社目は、同時並行で進められたのですか。
Alex: そうです。1本足だったら、そこがダメだったらまた1年伸びる。多少お金が余計にかかっても2社を同時に走らせました。日本の工場と中国の工場。結果、日本の工場の方は途中で打ち切りになって、すでに2,000万円使っていましたが損切りしました。でも1年余計にかかるリスクと比べたら、その2,000万円でリスクヘッジした方が安いんです。

人類5人、AI20人。チーム体制の実態
チームは何人ぐらいで運営されているのですか。
Alex: 人間は僕を入れて5人です。そしてAIが今20人ぐらいいます。情報発信やコンテンツ制作は AI が動画をつくったり、いろいろなコンテンツを生成したりしています。少人数でも、AI を使えばこれだけのことができるという実証でもあるんです。
2030年に100万人、最終目標は世界10億人
事業としての今後のビジョンを教えてください。
Alex: 2030年までにScentdaysのユーザーを100万人にすることが最初の目標です。直近だと2027年に1万人、2028年に10万人、2029年が50万人、2030年が100万人。まずアメリカ、インドネシア、日本の3市場で100万人を達成して、その後グローバルに展開して世界で10億人。これが最終目標です。
10億人のユーザーというのは、どういう規模感になるのでしょうか。
Alex: セントデイズアプリを使っている人の数ですね。世界で香りをデジタル配信するフォーマットを持っているのはうちだけなんです。たとえばテレビ局がマクドナルドの広告を出すときに匂いも配信したい。それがお茶の間のテレビから匂いがする。そういう使われ方をするようになるんですが、その時にはもうScentdaysのブランド名は表に出ないんです。
香りの伝送技術として、裏側ではうちの技術が使われる。完全にインフラの裏方に回る。つまりプロトコル(共通ルールや基盤)なんですよ。それが使われるたびに少しずつ収益が入ってくる。それが最終形態です。
ここからは Eric Yap氏に伺います。事業とトークンはどう連動するのか
ここまでAlexさんにScentdaysの事業について伺ってきました。ここからは、SCENTトークンを手がけるUniversal Scent TechnologyのCEO・Eric Yapさんに伺います。まず、Universal Scent Technologyとはどんな会社でしょうか。
Eric: シンガポールの会社で、SCENTトークンとその経済圏を設計・運営しています。Horizonさんの Scentdaysとは別の独立した会社で、私たちが香りのデジタル配信そのものを運営しているわけではありません。役割分担としては、「実体のある香りの事業」はHorizon、「トークンの経済圏」は私たち、という形です。
その「実体のある事業」と「トークン」は、どう連動するのですか。
Eric: これまでのクリプトだと、「トークンの価格が上がるのは、運営が買い支えているからでしょ」と思われがちです。でも私たちが目指すのは、そういう延命策ではありません。実体のある事業の成長と、トークンの価値がきちんと結びついていく形です。
ポイントは、法的な立て付けです。私たちの仕組みは、株式の「配当」のようなものではなく、レンディング(貸付)をベースに設計しています。だからこそ、グレーな手法に頼らず、適法な枠組みのなかで、参加者にリターンを還元していける。ここが、“なんとなく上がることを期待するだけのトークン”との一番の違いです。
規模感としては、どれくらいになりうるのでしょうか。
Eric: あくまで将来の構想としてのスケール感ですがたとえば、事業の売上の一部、構想では0.5〜1%程度を原資として、レンディングの仕組みを通じて参加者へ還元していくイメージです。そして実体のある事業が育ち、参加者が100万人から10億人へと1,000倍に広がっていけば、その原資の規模も、経済圏全体の大きさも、まったく違う桁になっていきます。設計の前提や条件はホワイトペーパーに公開していますので、関心のある方はそちらを確認してください。大事なのは、「ふわっとした期待」ではなく、「実体のある事業の成長」とつながっている、という一点です。
【編集部注】本セクションで述べられているトークン経済の設計および将来構想は、Universal Scent Technology(CEO:Eric Yap)によるものであり、Horizon株式会社・Scentdaysの事業ではありません。記載内容は将来の構想・目標であって、将来の収益・リターン・トークン価格を保証するものではなく、特定の暗号資産の取得を勧誘するものでもありません。具体的な法的スキーム(レンディング等)に関する表現は公開前に法務確認が必要です。暗号資産はリスクを伴います。

「みんなが豊かになる種」を蒔きたい
Ericさんに伺います。SCENTトークンが目指す、最終的なビジョンはどこにあるのでしょうか。
Eric: 「特定の誰かのものではなく、参加するみんなのものになる経済圏をつくる」というのが根っこにある考え方です。さきほどお話ししたレンディングの仕組みは、まさにそれを“適法に”成立させるためのものです。参加することが、育っていく経済圏に関わり続けることにつながる。きちんとした枠組みのなかで「みんなで豊かになる」を実装していきたいと考えています。
Alexさんは、その先にどんな未来を描いていますか。
Alex: これからは AI を使えば、個人でも小さなチームでも、自分のサービスを立ち上げられる時代になります。参加者一人ひとりが“つくる側”に回って、そこで生まれた価値が、また経済圏全体に循環していく。そうやって、関わるみんなが少しずつ豊かになっていく、そんな仕組みを育てたいんです。香りのデジタル配信は、その最初の入り口にすぎません。
まさにベーシックインカムの種のような仕組みですね。
Alex: そうなんです。資本主義では、何かしらのリスクを取らないと前に進めません。でもテクノロジーをうまく使えば、もっと多くの人が新しい挑戦のスタートラインに立てるようになる。だから僕は、AIの使い方をカリキュラムとして公開して、誰もが“つくる側”に回れるようにサポートしています。豊かになれる人を、一人でも増やしたい。それが、僕がこの仕事をしている一番の理由なんです。
【編集部注】上記は両氏および両社が描く将来のビジョンであり、将来の収益・リターン・利益を保証するものではなく、特定の暗号資産の取得を勧誘するものでもありません。
Web3業界の今後と「それって何屋さん?」
Alexさんに伺います。Web3市場全体については、どう見ていますか。
Alex: みんなうすうす気づいていると思いますけど、「最近盛り上がらなくないか」と。これはもっと加速すると思います。
ブロックチェーン自体はSBIさんとかが力を入れているので社会に実装されていくけど、今までのふわっとした感じのWeb3は盛り上がらなくなっていく。ようやく「それって何屋さん?」「誰がお客さんなの?」という質問が来るようになる。当たり前のビジネスの話なんですけどね。
読者の皆さんへ
最後に、読者へのメッセージをお願いします。まずAlexさんから。
Alex: もっとちゃんと知識を持って生きていかないと、今後先にめちゃくちゃ騙されるし、せっかく稼げるチャンスがあったのにチャンスを逃すことになると思っています。
これまでのクリプトの「当たり前」が、実は世界の原理原則で見るとめちゃくちゃ歪んでいる。ここから先は、伝統的な金融の当たり前をちゃんと学んだ方が、物の本質を見る力がつくし、人生の幸せにつながると思っています。
僕ができる限り、みなさんのサポートをしたい。Scentdaysを使ってよかったな、AI が使えるようになったな。そういう人生を過ごしてほしいなと思います。
Ericさんからもお願いします。
Eric: 私たちが大切にしているのは、きちんとした事業と、きちんとした法的枠組みのうえで仕組みをつくることです。参加してくださる方々と一緒に、長く続く経済圏を育てていきたいですね。
【お知らせ】香りのスピーカー「Scent Gem」クラウドファンディング実施中
現在、Alexさんが手がけるディフューザー「Scent Gem(セントジェム)」のクラウドファンディングが、GREEN FUNDINGにて実施されています。記事中で語られた、香りを「買う」から「ダウンロード」する世界を、いよいよ手元で体験できるデバイスです。
- プロジェクト名:デジタル大臣賞受賞!香りを「買う」から「ダウンロード」する時代へ、新体験、香りのスピーカー【Scent Gem(セントジェム)】誕生
- 製品概要:アプリを通じて100万通り以上の香りをダウンロードして楽しめるデバイス。12種類の香料原色の組み合わせで、多彩な香り体験を実現します。
- 目標金額:300,000円(※記事執筆時点で支援総額6,186,200円/支援者82名と、目標を大きく上回って達成中)
- 募集期間:2026年7月27日まで
- 主なリターン:
- 超早割 72,800円(一般販売予定価格 129,800円)/ディフューザー1台
- 早割 74,800円/ディフューザー1台
- 超早割2台セット 145,000円
- VVIPスペシャルセット 250,000円(ローンチイベント招待付き)
- 運営:Horizon株式会社
▶ プロジェクトページはこちら:https://greenfunding.jp/3s-japan/projects/9155
ご興味を持たれた方は、ぜひ募集期間中にチェックしてみてください。
Scentdays / SCENT リンク集
- Horizon株式会社 https://hrz.co.jp/
- Scent days https://www.scentdays.com/
- Universal Scent Technology https://www.universalscent.technology/
- Scent Token https://scenttoken.com/
