3行でわかるこの記事
- 何が起きた? ゲーム会社のコロプラが、絵を生成AIから守る無料アプリ「CCP」を提供しています。
- 重要なポイント 2026年3月24日にリリース、iPhoneでもAndroidでも使える無料アプリで、絵を暗号化してAIに学習されにくくします。
- なぜ注目? AIを業務で使うコロプラ自身が、クリエイターをAIから守るツールを作ったというギャップが話題になっているからです。
はじめに
「自分の描いた絵、SNSに上げたら勝手にAIに覚えられちゃうのかな?」
イラストを描く方や、お子さんが絵を投稿している方は、こんな不安を一度は感じたことがあるかもしれません。SNSに公開した瞬間、誰かのAIの学習用データになる可能性は、ゼロではない時代になりました。
その不安に応える無料アプリが、ゲーム会社のコロプラから出ています。「COLOPL Contents Protector(コロプル コンテンツ プロテクター)」、略してCCP。2026年3月24日にリリースされ、5月にはITmediaが開発の経緯をインタビュー記事で公開しました。
この記事では、こんなことを順番にお伝えします。
- CCPって何ができるアプリ?
- なぜ、AIを使うコロプラが、AIから守るアプリを作ったの?
- 仕組みは?普段の使い方は?
- これで完全に守れるの?
「自分は絵を描かないから関係ない」と思った方も、AIとクリエイターの関係を考える小さなヒントになると思います。できるだけわかりやすくお伝えしますね。
ひとことで言うと
CCPは、自分の絵に「AIが学習しても価値が出にくい仕組み」を埋め込んでくれる無料アプリで、技術と法律の両面からクリエイターを守ろうとしています。ここからは、その背景と仕組みを順番に見ていきましょう。
CCPって、何ができるアプリ?
CCPは、コロプラが2026年3月24日に提供を始めた無料のスマートフォン向けアプリです。iOS・Androidの両方に対応し、日本語と英語で使えます。
できることはシンプルです。
- 自分の絵を選んで、暗号化された形に変換する
- 暗号化された絵をSNSなどに公開する
- 公開された絵が、生成AIに勝手に学習されにくくなる
対応している画像形式はJPEG、PNG、GIF。透過やアニメーションの入った絵にも対応しています。
普通の絵にちょっとした「鍵」をかけてから世に出すイメージです。鍵がかかった絵は、見た目は同じでも、AIにとっては「学習データとしての価値が低い」状態に変わっています。
なぜ「AI推進」のコロプラが、絵を守るアプリを作ったの?
ここが今回のニュースで一番おもしろいところだと思います。
コロプラは「白猫プロジェクト」などで知られるゲーム会社で、業務でも生成AIを積極的に活用しています。AIを使う側の会社が、AIから絵を守るツールを作った。一見すると矛盾しているように感じます。
ITmediaの取材に対し、開発を担当した工藤剛氏は、こんな趣旨のことを語っています。「クリエイターは創作活動をしているのであり、AI学習用データとして扱われることは本来あってはならない」。
そのうえで菅井健太CIO(上席執行役員)は「クリエイターの意思と責任が重要」と話しています。AIを使うか使わないかは、作る人が選べる方がいい。その選択肢のひとつとしてCCPがある、という考え方です。
開発のきっかけになったのは、生成AIの急速な普及です。コロプラは2025年3月にプロジェクトを立ち上げ、約3カ月で実装を進めたとされています。
AIを推進している会社だからこそ、AIに学習されたくない側の気持ちもわかる。そんなねじれた立ち位置から生まれたツールだといえそうです。
仕組みは?「ノイズで防ぐ」既存ツールと何が違うの?
すでに海外には、絵を守るためのツールが存在します。「Nightshade(ナイトシェード)」や「Glaze(グレーズ)」と呼ばれるもので、絵に人間には見えにくいノイズを混ぜて、AIに誤認識させる方式です。
CCPはこれとは違うアプローチをとっています。コロプラ公式によれば、絵を「暗号化」してから画像データの中にその情報を埋め込みます。
- 暗号化はユーザーのスマホの中だけで行われる
- 元の絵の画像データはコロプラのサーバーに保存されない
- サーバーで管理されるのは暗号化のための鍵だけ
つまり、自分の絵がどこかにアップロードされて溜め込まれる心配は基本的にありません。
そして、暗号化された絵をAIが学習しようとしても、学習データとしての価値が下がる仕組みになっています。仮に誰かが暗号を不正に解こうとした場合は、日本の著作権法でいう「技術的保護手段の回避」にあたり違法になるとコロプラは説明しています。
技術で抑止しつつ、法律でも抑止する。両面で守ろうとしている点が、既存ツールとの大きな違いです。
私たちのスマホで、どう使えるの?
使い方の流れもシンプルです。
- App StoreやGoogle Playで「COLOPL Contents Protector」を検索してインストール
- アプリで自分の絵を選ぶ
- 暗号化された絵を保存して、SNSなどに投稿する
ダウンロードも利用も無料で、アプリ内に広告が表示される形で運営されています。アップデートも続いており、2026年4月にはプロテクト機能を強化した最新版が公開されています。古いバージョンを使っている方は、最新版に更新するのが安心です。
絵を描く方だけでなく、お子さんの作品をSNSに上げている方や、漫画・写真などの作品を発信している方にも関係するツールだと思います。
これで完全に守られる?できること、できないこと
便利そうに見えますが、「CCPを通せば100%安心」というわけではありません。コロプラ自身も、できることとできないことを率直に説明しています。
- 法的に「学習目的での利用そのもの」を強制的に止めることはできない
- SNSで拡散されて低解像度になった画像への対応には課題が残る
- 過去にすでに無断学習されてしまった絵までは戻せない
- DVDやBlu-rayなど他の媒体での複製・流通までは防げない
CCPはあくまで「これから公開する作品」を守るためのツールです。すでに広く出回ってしまった作品の不安を消してくれるわけではありません。
それでも、ゼロかイチかではなく「自分にできる対策をひとつ持てる」という安心感は大きいと思います。AIと付き合う時代の、ちょっとした心の準備として持っておく価値はありそうです。
用語ミニ解説
- 生成AI: 文章や画像、音声などを自動で作るAI。ChatGPTやStable Diffusionなどが代表例。(無数の素材から学んで、新しいものを生み出す道具のイメージ)
- 無断学習: クリエイターの許可なく、絵や文章をAIの学習データに使うこと。
- 暗号化: 情報を、決まった鍵がないと読めない形に変えること。(鍵付きの箱に入れるイメージ)
- 著作権法30条の4: AIの学習目的で著作物を使うことを、一定条件で認めている日本の法律の条文。
- CIO: Chief Information Officer。会社の情報・テクノロジー戦略を統括する役職。
Me-Moon編集後記 🌙
AIを使う側の会社が、AIから絵を守るツールを無料で出す。この矛盾しているように見える動きが、AI時代のクリエイターと企業の関係を表しているように思えます。
完璧な防御ではないけれど、自分の作品に小さな鍵をかけられる選択肢があるだけで、安心感がありますね🌙
参考リンク
- 「ウォーターマークを入れたい絵描きなんていない」──AI推進企業のコロプラがクリエイター保護ツール「CCP」を作ったワケ — ITmedia AI+, 2026-05-08
- AI時代の創作を守る新アプリ「COLOPL Contents Protector」を開発・無料提供開始 — 株式会社コロプラ, 2026-03-24
- コロプラ、画像をAI学習から守る無料アプリ「COLOPL Contents Protector」リリース。技術的な学習阻害&法的な抑止力で作品を保護 — ゲームメーカーズ, 2026-03-25
