Shade Mapは、樹木の影まで計算する。8月29日からXで話題の無料地図が、世界中どこでも日の出から日の入りまでの日陰を見せてくれます

Shade Mapは、樹木の影まで計算する。8月29日からXで話題の無料地図が、世界中どこでも日の出から日の入りまでの日陰を見せてくれます

3行でわかるこの記事

  • 何が起きた? 影を地図に重ねて見せる無料のWebサービス「Shade Map」が、2026年8月29日ごろからXで話題になりました。
  • 重要なポイント 太陽の位置と建物や山の高さから日なたと日陰を計算し、建物・樹木・地形が落とす影を立体的に再現します。
  • なぜ注目? 画面下のスライダーを動かすと日の出から日の入りまで影が動き、世界中どこでも登録なしで確かめられるからです。

はじめに

「日当たり良好、って書いてありますけど、実際どうなんでしょうね。」

部屋を借りるとき、日当たりを自分の目で確かめられるのは内見のあいだだけです。晴れた昼にひと部屋を見て、窓から入る光に「明るいですね」と言って、そのまま決める。冬の午後3時にその同じ窓がどうなっているかは、住んでみるまでわかりませんでした。

その確かめようがなかった部分を、地図の上で見せてくれるサービスが広がっています。名前は「Shade Map」。米国のソフトウェアエンジニア、テッド・ピオトロウスキ(Ted Piotrowski)氏が作った無料のWebサービスで、2026年8月29日ごろからXで話題になりました。

気になるのは、この地図がどうやって影を描いているのか。そして、部屋探し以外にどんな場面で効いてくるのかという点です。地図やソフトの知識がなくても追える形で、やさしくお伝えしますね。

ひとことで言うと

Shade Mapは、太陽の位置と建物や山の高さから日なたと日陰を計算して、好きな日時の影を地図に描いてくれる無料のサービスです。ここからは、その仕組みと使いどころを順番に見ていきましょう。

「日当良好」の4文字を、私たちはどこまで確かめられていた?

部屋探しで日当たりを判断する材料は、ずっと少ないままでした。

物件情報に並ぶのは「南向き」「日当たり良好」といった短い言葉です。この4文字が教えてくれるのは窓が向いている方角までで、その先にある向かいのビルの高さも、道路をはさんだ木の枝ぶりも、そこには書かれていません。

内見も一度きりのことが多いものです。しかも見に行けるのは、たいてい晴れた日の昼間。太陽の高さは季節で変わりますから、その日そのひとときに入った光が、一年じゅう同じように届くとは限りません。冬の午後に部屋の奥まで影が入るのかどうかは、契約書に判を押したあとで知ることになります。

住む場所選びは、何年もそこで暮らす決断です。それを短い言葉と一度の内見で決めていた、というのが少し前までの当たり前でした。その足りなかった情報を、いま地図の側が持ち始めています。

8月29日から広がった無料の地図は、影をどうやって描いている?

Shade Mapは、太陽の位置と建物や山の高さから、日が当たる場所と影になる場所を計算します。

地図を開くと、街の上にうっすらと灰色の面が重なって見えます。これが影です。適当に濃淡を付けた絵ではなく、その日その時刻に太陽がどこにあるかと、光をさえぎる物がどれだけ高いかの2つから、1つずつ計算して置かれた影です。

さえぎる物として計算に入るのは、建物と樹木、そして地形の3つ。この3つを立体で組み立てたうえで、影を落とします。

見どころは、真ん中に入っている樹木です。街路樹や庭の木は、ビルに比べればずいぶん低い存在で、地図の上ではこれまで背景の緑でしかありませんでした。それでも、夏の歩道で足を向けたくなるのは、木がつくる日陰のほうかもしれません。木を計算に入れるかどうかで、桜並木の通りも、公園の遊歩道も、地図の上の見え方は変わります。Shade Mapは、その一段小さい影まで乗せてきます。

土台になっているのは、公開されている地図のデータです。建物の形は、世界中の人が参加して作っている「OpenStreetMap」から取り込みます。山や谷の起伏は、土地の高さを記録したデータで再現します。だから東京の路地でもアルプスの谷筋でも、同じ仕組みのまま影が描けるわけです。

話題が広がったきっかけは、Xでの1つの投稿でした。2026年8月29日ごろ、引っ越す前に絶対チェックすべきサイトとして紹介され、そこから話題が広がっていきました。面白いのはその後で、部屋探しの道具として受け取った人だけでなく、山脈に落ちる影を眺めて絵として楽しむ人たちの投稿も伸びました。実用の道具と、眺めて気持ちのいい地図。1つのサービスが両方の入り口から広がった数日間でした。

真冬の午後3時の窓も、夕方の富士山の影も、出かける前に見える

この地図がうれしいのは、時間を自分の手で動かせるところです。

画面の下にスライダーがあり、これを左右に動かすと、日の出から日の入りまでの影の動きをそのまま追えます。日付も自由に変えられます。つまり、9月に見ている画面のまま、12月の午後3時へ飛べるということです。

部屋探しに戻ってみます。気になる物件を見つけたら、内見の予約を入れる前に、その住所を地図に出す。日付を真冬に、時刻を午後3時に合わせて、窓の前の道に影が落ちているか、向かいの建物の影がどこで止まっているかを見ておく。そのうえで内見に行けば、部屋に立ったときの「明るいですね」が、確かめる言葉に変わります。同じ地図を少し引いて見れば、駅からの帰り道のどちら側に日陰が残るかも、住む前にわかります。

対応しているのは日本だけではありません。世界中のあらゆる場所の影を、同じように見られます。

たとえば東京タワー。8月31日の午前9時すぎには西側に短く落ちていた影が、午後4時すぎには東へ長く伸び、芝公園を越えて周辺の街並みに覆いかぶさります。同じ都心でも千代田区紀尾井町を午後2時15分ごろで見ると、通り沿いのビルの影が北東へ大きく伸びて、中央付近の学校などにかかります。ビルの高さと向きが、昼下がりの学校に届く光まで左右しているのが見えます。

もっと引いて見ると、地図はまた別の顔になります。富士山の見どころは夕方で、山体の巨大な影が裾野を越えて東へ長く伸び、御殿場市の方面まで達します。日本アルプスでは、連なる峰々の影が谷筋をひとつずつ埋めていく様子を上から眺められます。Xで話題が広がったとき、部屋探しの道具としてではなく、この山の眺めのほうに引き寄せられた人がいたのもうなずけます。

海外も同じです。ニューヨークのマンハッタンでは、朝、超高層ビル群の細長い影がハドソン川へ一斉に突き出し、ギザギザのシルエットを水面に描きます。パリのエッフェル塔は、昼すぎの太陽を受けた塔の影が北へ伸びて、セーヌ川にかかります。旅先で撮った写真の日付と時刻を思い出しながら、あの日の影を出してみる。そんな遊び方ができるのも、世界中が同じ計算で塗られているからです。

さらにShade Mapには、「太陽の光を浴びる時間」と「年間日照時間」というレイヤーもあります。ある1日の影を追いかけるのではなく、1年を通してどれだけ日が当たる場所なのかを、地図全体の色として見られます。ベランダで野菜を育てたい人、洗濯物を干す場所を決めたい人、屋根に太陽光パネルを載せるか考えている人。日当たりを「今この瞬間」ではなく「量」で知りたい場面に、この層が効いてきます。

登録もお金もいらない。今日はどこから開いてみる?

ここがいちばん気楽なところで、Shade Mapはアカウント登録なしで、Webブラウザから無料で使えます。

アプリを入れる必要も、会員登録の画面を通る必要もありません。パソコンでもスマホでも、いつも使っているブラウザで開けば、そのまま地図が出ます。やることは3つだけです。地図を目的の場所まで動かす。画面の下のスライダーで時刻を動かす。もっと先の季節が見たければ、日付を変える。難しい操作は出てきません。

歩いているその場で日陰を探したいときは、スマホの地図アプリ側にも道はあります。NAVITIMEのウォーキングアプリには日陰マップが入っていて、地図の上に日陰が表示されます。表示される範囲は日の出から日の入りまで。ただし地図を近い縮尺にしないと日陰は出てこないので、街全体を見わたすためではなく、いま歩いている一帯を確かめるための道具だと考えるとしっくりきます。腰を据えて調べるならブラウザのShade Map、外に出てからはスマホの日陰マップ、という使い分けができます。

最初の1回は、自分の家から開くのがおすすめです。今日の午後、自分の部屋の窓に日が当たっているかどうか。答えはもう手元にありますし、当たっていれば、なんだか少し得をした気分になります。

用語ミニ解説

  • Shade Map: 建物・樹木・地形が落とす影を、指定した日時で計算して地図に重ねて見せる無料のWebサービス。アカウント登録なしでブラウザから使えます。
  • レイヤー: 地図の上に重ねる情報の層のこと。Shade Mapには「太陽の光を浴びる時間」と「年間日照時間」の層があります。
  • OpenStreetMap: 世界中の人が参加して作っている、誰でも使える地図データ。Shade Mapは建物のデータをここから取り込みます。
  • 日陰マップ: スマホの地図アプリで日陰を表示する機能。NAVITIMEのウォーキングアプリに入っていて、日の出から日の入りまでの日陰を地図上に出します。

Me-Moon編集後記 🌙

影は毎日そこにあるのに、地図に描かれたことはほとんどありませんでした。あって当たり前のものが1つ見えるようになるだけで、部屋選びも、夏の道の選び方も変わるのが面白いです。

次に地図を開くときは、道の形だけでなく、その上に落ちる影も一緒に見ているのかもしれません。あなたなら、どこの街の影から動かしてみたいですか🌙

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小宮 滉

監修者

小宮 滉

コインチェック株式会社を経て、現在はGUILD株式会社および一般社団法人Web3人材マネジメント協会の代表理事を務める。

Web3・仮想通貨分野では、「NGG(NinjaGuild_Japan)」というコミュニティの運営や、「IVS Crypto THE DEMODAY」MetaMeトラックでの優勝など、多くの実績を有する。

また、AI・ブロックチェーン開発を強みとしたDXサービスを提供し、企業の成長を支援します。AI・ブロックチェーン技術との統合を通じて、DX体験をシームレスに実現し、ユーザーと企業の双方に新たな価値を創出することを目指して、開発支援やマーケティングを行っております。

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