野村がビットコインなどの交換業に登録。日本で4年ぶりの新規参入、なぜ今?

野村がビットコインなどの交換業に登録。日本で4年ぶりの新規参入、なぜ今?

3行でわかるこの記事

  • 何が起きた? 野村ホールディングス傘下のレーザー・デジタル・ジャパンが8月21日、資金決済法にもとづき関東財務局から暗号資産交換業者の登録を受けました。
  • 重要なポイント 国内27社目の登録業者で、日本での新規登録は2022年以来およそ4年ぶりです。
  • なぜ注目? 日本でデジタル資産に対する機関投資家の見方や、資産配分の方針が変化していることに対応した動きだと説明されているからです。

はじめに

暗号資産のことを、まだ自分の暮らしからは少し遠いと感じている方もいると思います。

スマホのホーム画面に、銀行や証券会社のアプリと暗号資産のアプリが並んでいても、どこか違う世界につながっているように見える。どちらもお金を扱うアプリなのに、そんな距離を感じることがあるかもしれません。

今、その距離が少し縮まるような動きがありました。日本の暗号資産交換業者の名簿に、およそ4年ぶりに新しい名前が加わったのです。登録されたのは、野村ホールディングス傘下のレーザー・デジタル・ジャパンでした。

ここから見ていくのは、次の4つです。

  • 8月21日に登録されたのは、どんな会社なのか?
  • 「4年ぶり」とは、どのくらい動きがなかったということなのか?
  • なぜ、このタイミングで登録されたのか?
  • 私たちが使っているアプリに、何か変化はあるのか?

数字や会社名が多いニュースですが、暮らしとのつながりが見えるように、順番に整理していきます。

ひとことで言うと

野村ホールディングス傘下の会社が暗号資産交換業者として登録され、日本の名簿におよそ4年ぶりに新しい名前が加わりました。まずは、どのくらい久しぶりの出来事なのかを見てみましょう。

取引アプリの顔ぶれ、いつから同じままだった?

自分のスマホに入っている暗号資産のアプリを思い浮かべてみてください。ここ数年、顔ぶれに大きな変化を感じていなかった方もいるかもしれません。

日本で暗号資産の売買や交換をサービスとして行うには、資金決済法にもとづく暗号資産交換業者の登録が必要です。今回、その新規登録がおよそ4年ぶりに行われました。

前回、金融庁の認可を受けたのは、2022年10月のバイナンスジャパンです。それ以来、新しい業者の登録がない状態が続いていました。暗号資産に関するニュースは何度も流れてきましたが、国内で売買を支える業者の名簿は、長いあいだ動いていなかったのです。

その名簿が2026年8月、ようやく動きました。今回のニュースで大切なのは、単に新しい会社が1社増えたことだけではありません。およそ4年間、変化のなかった登録業者の顔ぶれに、新しい名前が加わったことにも意味があります。

8月21日、27社目に加わったのはどんな会社?

2026年8月21日、暗号資産交換業者の名簿にレーザー・デジタル・ジャパンが加わりました。

レーザー・デジタル・ジャパンは、野村ホールディングス傘下で暗号資産取引を手がけるレーザー・デジタルHDの日本法人です。レーザー・デジタルHDはスイスの会社で、今回登録を受けたのは、その日本法人にあたります。

資金決済法にもとづき、関東財務局から暗号資産交換業者として登録されました。登録番号は関東財務局長第00032号で、国内27社目の登録業者となります。

取り扱う予定の暗号資産は、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、エックス・アール・ピー(XRP)、ビットコインキャッシュ(BCH)、ライトコイン(LTC)、シバイヌ(SHIB)の6銘柄です。

親会社にあたるレーザー・デジタルは、トレーディング、アセットマネジメント、ベンチャー投資の3事業を持っています。わかりやすく言い換えると、売買、資産運用、新しい会社への投資を手がける会社です。

今回の登録は、暗号資産だけを扱う新しい会社が突然、日本市場に入ってきたという話ではありません。野村ホールディングス傘下でデジタル資産の事業を進めてきた会社の日本法人が、国内で必要な登録を受けたという出来事です。

なぜ「今」だったのか?

4年ほど動きがなかった名簿に、なぜ今、新しい名前が加わったのでしょうか。報道と会社側の説明を整理すると、3つの動きが重なっていたことが見えてきます。

1つ目は、機関投資家のお金の置き場所が変わりつつあることです。

報道では、今回の登録について、日本でデジタル資産に対する機関投資家の見方や、資産配分の方針が変化していることに対応した動きだと説明されています。

機関投資家とは、年金基金や企業など、大きな資金をまとめて運用する立場の人たちのことです。個人でお金を運用するのとは規模が異なり、まとまった資金をどの資産に振り分けるかを考えています。その選択肢として、デジタル資産への関心が高まっているということです。

変化は数字にも表れています。ニューズウィーク日本版の報道によると、2025年9月時点で、日本の投資家によるデジタル資産の保有額は4.9兆円に達しました。企業や年金基金、政府系ファンドなどによる分散投資の需要が、市場の成長をけん引しているとされています。

2つ目は、会社側が以前から準備を進めていたことです。

レーザー・デジタル・ジャパンが設立されたのは2023年10月です。会社は今回の登録を、日本法人の設立以来進めてきた国内参入計画の重要なマイルストーンと位置づけています。

今年になって急に日本への参入を決めたわけではありません。日本法人を設立した時点から計画を進め、その節目として今回の登録にたどり着きました。

3つ目は、登録審査を終えたことです。

代表取締役社長の工藤秀明氏は、「厳格な登録審査の過程を経て本登録を完了したことは、日本市場に貢献するための当社のロードマップにおける重要なマイルストーン」とコメントしています。

会社側が説明しているように、登録までには審査の過程がありました。「なぜ今なのか」という問いには、機関投資家を取り巻く変化だけでなく、会社が準備を重ね、審査を終えたタイミングだったから、という面もあります。

大きな金融の名前が暗号資産に近づく動きは、Me-Moon Mediaでも米国最大の証券会社がビットコインの現物取引を始めたときに取り上げました。

海外で先に見られた動きが、日本の登録業者の名簿にも表れた形です。お金の置き場所が変わり、会社が準備を続け、その審査が終わった。その3つが重なったのが、2026年8月21日だったと考えると、今回のタイミングが見えやすくなります。

私たちが押す「買う」ボタンは、変わる?

今日、暗号資産のアプリを開いても、画面は昨日と変わりません。

公表されている計画では、レーザー・デジタル・ジャパンは、まず国内の暗号資産交換業者に向けてサービスを提供します。それによって、国内市場の流動性を高めることを目指しています。

日本の機関投資家にデジタル資産の取引機会を提供することについては、まだ検討の段階です。サービスの開始時期や詳しい内容は、改めて公表するとされています。

英語の報道でも、最初は国内の暗号資産事業者に向けた機関向けの流動性提供から始め、機関投資家向けの取引サービスは、その後に予定していると説明されています。

つまり、最初にサービスが届く相手は、国内の暗号資産交換業者です。機関投資家向けのサービスは次の段階として検討されており、私たち個人に向けて新しいサービスを始めるという発表はありません。

「野村のアプリでビットコインを買えるようになる」というニュースではない点は、押さえておきたいところです。

では、個人にはまったく関係がないのでしょうか。今回、変化が起こる可能性があるのは、私たちが見る画面ではなく、「買う」ボタンの向こう側です。

レーザー・デジタル・ジャパンが目指しているのは、国内市場の流動性向上です。流動性とは、売りたい人と買いたい人が、どれくらいいるかを表す言葉です。

朝市を思い浮かべると、少しわかりやすくなります。売り手も買い手も少ない市場では、欲しい魚が並んでいなかったり、売りたい魚に値がつかなかったりします。反対に、売り手と買い手が集まる市場なら、欲しいときに買いやすく、売りたいときにも売りやすくなります。

私たちがアプリで押す「買う」ボタンの先にも、売り手と買い手がいる市場があります。今回の登録は、その市場を厚くすることを目指す会社が1社増えた、というニュースです。

ただし、今は会社が流動性の向上を「目指す」と発表している段階です。価格や手数料が変わると決まったわけではありません。現時点で、個人が使うアプリの画面や機能に変化があるという発表も出ていません。

今日から何かしておくことはある?

今のところ、しておくことはありません。

口座を作り直す必要も、アプリを入れ替える必要も、新たに費用を払う必要もないので、慌てて動く場面ではありません。

それでも、このニュースから見えてくる変化はあります。これまで少し離れて見えた暗号資産の世界に、ふだん金融のニュースで耳にするグループの名前が加わったことです。

レーザー・デジタル・ジャパンが扱う予定の6銘柄には、ビットコインやイーサリアムなどが含まれています。そして、同社がまず目指すのは、国内の暗号資産交換業者にサービスを提供し、市場の流動性を高めることです。

私たちのアプリが今日から変わるわけではありません。ただ、その向こう側を支える事業者の顔ぶれは変わりました。

およそ4年間動かなかった名簿に、27社目の登録業者が加わった。今後、新しい登録のニュースを見かけたときには、今回の出来事がひとつの基準になります。自分が使っているアプリの向こう側で、どのような会社が市場に加わっていくのか。そんな見方で、これからの動きを追うことができます。

用語ミニ解説

  • 暗号資産交換業者: 日本で暗号資産の売買や交換をサービスとして行う事業者です。資金決済法にもとづく登録が必要になります。
  • 資金決済法: お金の支払いや送金、暗号資産の取り扱いについて定めた日本の法律です。
  • 関東財務局: 暗号資産交換業者の登録を行う国の機関のひとつです。今回の登録番号は関東財務局長第00032号です。
  • 流動性: 売りたい人と買いたい人が、どれくらいいるかを表す言葉です。流動性が高いほど、欲しいときに買いやすく、売りたいときに売りやすくなります。
  • 機関投資家: 年金基金や企業など、大きな資金をまとめて運用する立場の人たちを指します。

Me-Moon編集後記 🌙

「4年ぶり」という言葉から、国内の暗号資産交換業者の名簿が、長いあいだ動いていなかったことが伝わってきます。その名簿に新しく加わったのが、金融のニュースで耳にする野村ホールディングス傘下の会社でした。

私たちが見るアプリの画面は、今日も昨日と同じです。それでも、その向こう側を支える会社の顔ぶれは少しずつ変わっています。次に加わるのはどんな名前なのか、これからの動きにも注目したいですね🌙

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参考リンク

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※内容の真偽や広告内容についてはご自身でご判断ください。

小宮 滉

監修者

小宮 滉

コインチェック株式会社を経て、現在はGUILD株式会社および一般社団法人Web3人材マネジメント協会の代表理事を務める。

Web3・仮想通貨分野では、「NGG(NinjaGuild_Japan)」というコミュニティの運営や、「IVS Crypto THE DEMODAY」MetaMeトラックでの優勝など、多くの実績を有する。

また、AI・ブロックチェーン開発を強みとしたDXサービスを提供し、企業の成長を支援します。AI・ブロックチェーン技術との統合を通じて、DX体験をシームレスに実現し、ユーザーと企業の双方に新たな価値を創出することを目指して、開発支援やマーケティングを行っております。

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