3行でわかるこの記事
- 何が起きた? 日本発のブロックチェーン企業Startale Groupが、SBIグループから約80億円を含むシリーズA資金調達で合計約100億円を集めました
- 重要なポイント 集めた資金で、株やゴールドをブロックチェーン上で24時間取引できるプラットフォーム「Strium」と、日本円建てのステーブルコイン「JPYSC」を開発します
- なぜ注目? 日本の金融市場に、証券取引所が閉まっている時間でも資産を売買できるインフラが誕生するかもしれないからです
はじめに
年間8,760時間のうち、東京証券取引所が開いているのは約1,200時間。残りの7,500時間以上、私たちは株を売買できません。
「夜中にニュースを見て株を売りたいと思ったけど、取引所が閉まっていた」という経験は、投資をしている方なら一度はあるのではないでしょうか。
この「取引時間の壁」を、ブロックチェーン技術で取り払おうとしている日本の企業があります。その名はStartale Group。2026年3月26日、SBIグループから約80億円を調達し、シリーズA合計で約100億円を達成したことが発表されました。
この記事では、こんなことを解説していきます。
- Startale Groupとは何をしている会社なのか?
- なぜSBIが80億円も投じたのか?
- 私たちの資産運用はどう変わるかもしれないのか?
ひとことで言うと
Startale Groupは、株式・ゴールド・石油などあらゆる資産をブロックチェーン上で「トークン化」して24時間取引可能にするプラットフォーム「Strium」と、日本円と連動するステーブルコイン「JPYSC」を開発している企業です。今回の100億円調達で開発を加速させます。
Startale Groupの正体は?渡辺創太氏が率いる日本のWeb3フロントランナー
Startale Groupは、CEO渡辺創太氏が率いる日本発のブロックチェーン企業です。
渡辺氏は、日本のWeb3業界では非常に知名度の高い起業家で、以前から日本のブロックチェーンインフラの発展に取り組んできました。2026年1月にはソニーのイノベーションファンドから約1,300万ドル(約20億円)の投資を受けており、今回のSBIグループからの約80億円と合わせて、シリーズA全体で約100億円の資金調達を達成しました。
たとえるなら、日本の金融業界に新しい「レール」を敷こうとしている会社です。電車が線路の上を走るように、あらゆる金融資産がブロックチェーンという「レール」の上を走れる世界を目指しています。
SBIが80億円を出した理由は?「オンチェーン金融」という巨大市場
なぜ日本の金融大手SBIグループが約80億円もの大型投資に踏み切ったのでしょうか。
その背景にあるのが「オンチェーン金融」という世界的なトレンドです。
従来の金融では、株や債券の取引は証券取引所を通じて行われます。取引時間は平日の決まった時間帯に限られ、決済に2営業日かかることもあります。
一方、ブロックチェーンを使えば、24時間365日、世界中どこからでも取引でき、決済もほぼリアルタイムで完了します。
SBIグループの北尾吉孝会長兼社長は、「伝統的な金融とオンチェーン金融を統合することで、日本の金融市場の競争力を高めたい」というコメントを発表しています。つまりSBIにとっても、次世代の金融インフラへの投資は避けて通れない戦略的な判断だったと言えます。
「Strium」って何?株もゴールドもトークン化する新しいブロックチェーン
Startaleが開発する「Strium(ストリウム)」は、さまざまな資産をトークン化して常時取引可能にするブロックチェーンです。
「トークン化」とは、株式やゴールド、石油といった実物の資産を、ブロックチェーン上のデジタルな「トークン」に変換することです。
たとえば、金(ゴールド)のインゴット1本を丸ごと買うには数百万円が必要ですが、トークン化すれば1グラム分、あるいはもっと小さな単位で購入できるようになります。しかも取引は24時間可能です。
Striumの特徴をまとめると、こうなります。
- トークン化された株式、インデックス、ゴールド、石油などの常時取引
- ブロックチェーン上での高速決済
- 機関投資家から個人投資家まで利用可能な設計
もう一つの柱「JPYSC」は、日本円と同じ価値のデジタル通貨
Startaleが開発するもう一つの重要なプロジェクトが「JPYSC」という日本円建てのステーブルコインです。
ステーブルコインとは、ビットコインのように価格が大きく変動する暗号資産とは異なり、1コインが常に1円(や1ドル)と同じ価値を維持するように設計されたデジタル通貨のことです。
JPYSCの特徴は「信託型」であること。これは信託銀行が裏付け資産を管理する仕組みで、「ちゃんとお金が入っている金庫付き」のデジタル通貨と言えます。
日常生活にたとえると、電子マネーのSuicaが「鉄道会社が管理するデジタルなお金」だとすれば、JPYSCは「信託銀行が保証するブロックチェーン上のデジタルなお金」というイメージです。信頼性が高いので、企業間取引にも使えるようになるかもしれません。
私たちの資産運用が変わるかもしれない3つのポイント
Startaleの取り組みが実現すると、私たちの暮らしにどんな影響があるのでしょうか。
1. 夜中でも休日でも取引できる
株式市場が閉まっている時間帯に重大ニュースが飛び込んでも、トークン化された証券なら即座に対応できます。
2. 少額から多様な資産に投資できる
ゴールドや不動産といった「お金持ちの投資」だと思われていた資産クラスに、少額からアクセスできるようになるかもしれません。
3. 送金・決済がスムーズになる
JPYSCのようなステーブルコインが普及すれば、銀行の営業時間を気にせず、即座に送金や決済ができる時代が見えてきます。
用語ミニ解説
- トークン化: 株やゴールドなどの資産を、ブロックチェーン上のデジタルな「トークン」(証明書のようなもの)に変換すること。小口化して売買できるようになるメリットがあります
- ステーブルコイン: 価格が安定するよう設計された暗号資産。日本円や米ドルと同じ価値を維持するため、決済や送金に使いやすいのが特徴です
- シリーズA: スタートアップの資金調達ラウンドの一つ。本格的な事業拡大のための資金で、金額の大きさは投資家からの期待の高さを示します
- 信託型ステーブルコイン: 信託銀行が裏付け資産(円などの法定通貨)を管理する形式のステーブルコイン。管理者の信頼性が高く、企業利用に適しています
- レイヤー1ブロックチェーン: ブロックチェーンのネットワークの基盤層のこと。高速道路でいう「道路そのもの」にあたり、その上でさまざまなサービスが動きます
Me-Moon編集後記 🌙
「100億円」と聞くと、とてつもなく遠い世界の話に聞こえるかもしれません。でもStartaleが作ろうとしているのは、意外と身近な未来です。
「日曜日の夜に、スマホからゴールドを1,000円分買える」「海外旅行中に、日本円建てのデジタル通貨で即座に支払いができる」。そんな日常が数年後には当たり前になっているかもしれません。
伝統的な金融の世界と、ブロックチェーンの世界が交わり始めている。100億円という数字は、その交差点に立つStartaleへの「期待の大きさ」そのものだと感じます🌙
参考リンク
- StartaleがシリーズAで約100億円の資金調達を実施し金融のオンチェーン化を加速 — VOIX money, 2026年3月26日
- Startale、シリーズA総額約100億円の資金調達を実施 — テレ東プラス, 2026年3月26日
- スターテイル、SBIから約80億円の資金調達。シリーズAは総額100億円に — あたらしい経済, 2026年3月26日
