ビッグ・ピートが樽ごと買えるようになった。熟成が終わると、自分のボトルになって届く

ビッグ・ピートが樽ごと買えるようになった。熟成が終わると、自分のボトルになって届く

3行でわかるこの記事

  • 何が起きた? ダグラスレインとUniCaskが2026年9月3日、ウイスキーのビッグ・ピートの樽を、UniCaskの樽マーケットプレイスで取り扱うことになりました。
  • 重要なポイント 買った樽は家に届きません。ダグラスレイン社の倉庫でそのまま熟成を重ね、終わったら同社が瓶詰めして、ボトルが所有者のもとへ届きます。
  • なぜ注目? 誰がどの樽を持っているのかはブロックチェーンで記録されるので、樽に一度も触らなくても、どれが自分の樽かはっきりしています。

はじめに

2026年8月11日、コンビニの棚に煙の匂いがするハイボールの缶が並びました。ローソン限定のビッグピート スーパースモーキーハイボールで、350ml缶が438円(税込)です。同じ日、ビッグピート クレイジースモーキーハイボールの350ml缶が600円、ビッグピート クレイジースモーキーエディションの200mlミニボトルが2750円で、隣に並びました。缶は炭酸で割ったハイボールなので、量の少ないミニボトルのほうが値段は上で、438円の缶の6倍以上です。

味の説明に並ぶ言葉は、ピート、焚き火のようなスモーク、潮の香り、そして幾層にも重なる複雑さです。ピートは泥炭という土のような燃料のことで、これを焚いて麦を乾かすと、ウイスキーに煙の香りが付きます。焚き火のそばに立ったときのあの匂いが、そのまま飲み物に入っています。発売直後からSNSやYouTubeに反響が集まりました。

そのビッグ・ピートに、2026年9月3日、缶よりずっと大きい単位が加わりました。ウイスキーの樽を売り買いする場を開いているUniCaskと、ビッグ・ピートを手がけるダグラスレインが、ビッグ・ピートの樽をUniCaskの樽マーケットプレイスで取り扱うことになったのです。樽を買うと、あの大きな木の樽が家に届くのでしょうか。熟成が終わったら、中身はどうなるのでしょうか。

ひとことで言うと

ビッグ・ピートの樽を1本まるごと自分のものにして、中身が育って瓶に入る日を待てるようになりました。

缶とボトルの先にある樽って、何が違うの?

今回の発表は、ビッグ・ピートの売り方を大きさの順に並べてみせます。缶ハイボール、200mlや700mlのボトル、そしてその先にある最も大きな単位が樽です。飲むビッグ・ピートから持つビッグ・ピートへ、というのが発表の合言葉で、棚から1本選ぶのではなく、中身がまだ出来上がっていない樽を1本選ぶ買い物に変わります。

ビッグ・ピートは、アイラ島のモルトウイスキーを混ぜ合わせて造られる、ダグラスレインを代表するブランドです。ダグラスレインは1948年にスコットランドのグラスゴーで生まれた家族経営のインディペンデントボトラーで、他所の蒸溜所から樽を買い、自社の名前で瓶詰めして売る会社です。創業から78年、いまはビッグ・ピートのほかにScallywag、Timorous Beastie、The Epicureanといったブランドを並べています。

その会社を率いるフレッド・レイン氏は、ビッグ・ピートについて「ビッグ・ピートは私のハート」と言っています。数あるブランドのひとつという扱いではないわけです。

樽を買ったら、家に届くの?

届きません。買われた樽はダグラスレイン社の倉庫で保管され、そのまま熟成を重ねていきます。樽を運ぶ手配や置き場所の用意も要りません。ウイスキーの樽は大人が抱えられる大きさではないので、置き場所が気になった人もいると思いますが、その心配は要らない買い物です。

役目がきれいに分かれています。持ち主としての手続きと管理はUniCaskの上で済ませ、保管と熟成と瓶詰めはダグラスレインが受け持ちます。UniCaskは、ウイスキーやラムなどの樽の所有権と保管情報をデジタルで管理する会社で、2021年1月に立ち上がり、クリス・ダイ氏が代表を務めています。購入から引き渡しまでの手続きはオンラインで終わるので、買った人は樽が置かれた倉庫に一度も行かないまま所有者になります。

熟成が終わると、どうなるの?

熟成を終えた樽は、ダグラスレイン社が責任を持って瓶詰めし、完成したボトルが所有者のもとへ届きます。買った人がやることは、その日を待つことだけです。

受け取るのはボトルですが、付いてくるのはそれだけではありません。樽が年月を重ね、熟成で中身が変わり、瓶詰めされて手元に届くまでの時間も、まとめて自分のものになります。缶なら買ったその日に飲み終わる話が、何年も先まで続く楽しみに変わります。

UniCaskはこれまで、どんな売り方をしてきたの?

UniCaskが2021年12月にやった売り方を見ると、樽の買い方は1本まるごとだけではなかったことが分かります。このときは1樽の中身を100口に分け、100分の1ずつの持ち分をCASK NFTというデジタルの証明書にして、100個販売しました。

第1弾はスプリングバンク蒸溜所の樽で、1991年12月6日に造られたホグスヘッドという250リットルの樽でした。250リットルを700mlのボトルに移すと単純計算で350本ほど、100口に割れば1口あたり2.5リットルで、700mlのボトルなら3本半ほどです。ただし樽から瓶に移るまでに目減りする分があるので、この本数がそのまま届くわけではありません。瓶詰めの予定日は2041年12月7日以降で、買った人は20年待つことになり、中身は50年ものになります。持ち分の証明は、瓶詰めされた後に本物のウイスキーと交換できます。

払い方も分かれていて、暗号資産のイーサリアムで払う人は12月15日の正午から、クレジットカードで払う人は12月16日からの販売でした。

小さく分けて買う話の反対側に、目を丸くする出品もあります。ゴードン&マクファイルという会社が出したグレンリベット85年というウイスキーは、1本27,500,000円(税込)で、世界に125本だけです。アルコール度数43.7%は、ウイスキーによくある40%台です。1940年2月3日に336番の樽へ原酒が詰められ、85年を経て瓶に入りました。1本で家が買えてしまう値段ですが、英国に置いたまま預ける保管サービスは1年で612ポンド、ひと月あたり51ポンドほどです。

誰がどの樽の持ち主かは、どうやって分かるの?

樽は倉庫の中にあって、買った人の手元にはありません。そこでUniCaskはブロックチェーン技術を使い、誰がどの樽を所有しているのかを明確に記録します。ブロックチェーンは、同じ記録をみんなで持ち合って、後から書き換えられないようにするしくみです。

手元に樽がなくても、どの樽が誰のものかはこの記録で分かります。瓶詰めの連絡が20年後に来るような買い物では、記録が消えないことがそのまま効いてきます。

用語ミニ解説

  • アイラ島: スコットランド西の島で、煙のような香りの強いウイスキーの産地です。
  • ホグスヘッド: ウイスキーの熟成に使う樽の種類のひとつです。第1弾に使われた樽は250リットル入りでした。
  • CASK NFT: 樽の持ち分の持ち主をブロックチェーンに記録した、UniCaskのデジタル証明書です。NFTは、同じものが二つないデータとして持ち主をたどれるようにしたものです。

Me-Moon編集後記 🌙

コンビニで438円の缶を買った翌月に、同じ名前の樽が選べるようになるとは思いませんでした。飲み終わったら終わりだったお酒に、待つという付き合い方が足されたのが面白いです。

自分の樽がどこかの倉庫で静かに熟成していく、そんな何年かも楽しそうですね🌙

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参考リンク

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※内容の真偽や広告内容についてはご自身でご判断ください。

小宮 滉

監修者

小宮 滉

コインチェック株式会社を経て、現在はGUILD株式会社および一般社団法人Web3人材マネジメント協会の代表理事を務める。

Web3・仮想通貨分野では、「NGG(NinjaGuild_Japan)」というコミュニティの運営や、「IVS Crypto THE DEMODAY」MetaMeトラックでの優勝など、多くの実績を有する。

また、AI・ブロックチェーン開発を強みとしたDXサービスを提供し、企業の成長を支援します。AI・ブロックチェーン技術との統合を通じて、DX体験をシームレスに実現し、ユーザーと企業の双方に新たな価値を創出することを目指して、開発支援やマーケティングを行っております。

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