3行でわかるこの記事
- 何が起きた? MetaのAIエージェント「Muse」が2026年10月23日に日本で使えるようになり、北米以外では日本が初めての提供先になりました。
- 重要なポイント 「来月の大阪旅行で予算3万円以内のホテルを探して」と頼むと、予定の確認から宿の比較、フォームの入力まで自分で進め、アプリを閉じた後も作業を続けます。
- なぜ注目? メールの送信や買い物のような大事な操作の前には本人に確認が来て、Muse自身はパスワードや支払い情報を見られない作りになっているからです。
はじめに
スマホのMuseに「来月の大阪旅行で、予算3万円以内のホテルを探して」と打ちます。するとMuseは、つないであるGoogleカレンダーで来月の予定を確かめ、Webで宿を探して見比べ、ブラウザを開いてフォームに入力するところまで進めていきます。
ここまでなら便利な検索に聞こえるかもしれません。でもMuseは、こちらがアプリを閉じても手を止めません。裏で作業を続けて、状況が変わったときや、こちらの「いいよ」が必要になったときに通知で知らせてくれます。
2026年9月8日(米国時間)に発表された時点では、日本での提供はまだ決まっていませんでした。そのMetaのパーソナルAIエージェント「Muse」が、2026年10月23日に日本で始まりました。気になるのは、勝手に予約や支払いまで進めてしまわないのか、そして日本ではどこまで使えるのか、の2つです。
ひとことで言うと
Museは、頼んだ用事を自分で進めてくれるAIで、メールを送る、ものを買うといった大事な場面の前にはこちらに確認してくれます。日本でも、基本の機能の多くを無料で使えるようになりました。
「大阪で3万円以内のホテル」と頼むと、Museは何をしてくれる?
Museの基本の動きは、目標を伝えると、その人に合わせた計画を立て、時間や使える手段の割り振りを決めてから、あとは自分で作業を進めるというものです。大阪のホテル探しで、いきなり宿を探さずにまずカレンダーを見にいくのも、この流れに沿った動きです。
作業の幅も広く、Museはブラウザを開いてフォームに入力し、こちらの代わりに交渉することもできます。メールの送信や旅行の予約のような用事だけでなく、もっと大きな目標にも取り組めます。たとえば車を少しでも高く売るための工夫や、毎月の請求額の見直し、生活が変わったときのトレーニング計画の調整です。
もっと身近な使い方もあります。Instagramに保存しておいたレシピの動画から買い物リストを作ったり、夕食会のメニューを考えたり、招待状を送る前に友達の食事の制限を思い出したりできます。
こうした用事をこなせるのは、ほかのサービスとつながれるからです。つなげる先には、Gmail、Googleカレンダー、Instagram、Stripe、Shopify、Trip.com、Agoda、Klookなどがあります。後半に並んでいるのは、ネットでの支払いやネットショップづくり、旅行の予約で世界中に広がっているサービスで、これらとの連携のおかげで買い物や旅行の計画から予約まで任せられます。
段取りを考える頭脳にあたるのは、Metaがこれまでに作った中で最も性能の高いAIモデル「Muse Spark」です。実際の用事をこなすために作られたモデルで、Metaで最高AI責任者を務めるアレクサンダー・ワン氏のもとで開発されました。
アプリを閉じても、本当に探し続けてくれるの?
はい。時間のかかる作業は、アプリを閉じた後もMuseが続けます。そのうえで、状況が変わったときや、メールを送る、商品を買うといった承認が要る場面になったときに通知が届きます。ホテル探しなら、こちらは別のことをしていて、通知が来たときに画面を開いて返事をすればよいわけです。
話しかけ方も気軽です。Museはもともと、友達にメッセージを送るのと同じ感覚でやり取りできるように作られていて、技術の知識がなくてもすぐ使い始められます。
最初に試しやすい頼みごとには、「来週のカレンダーを見て、集中して作業できる45分の時間を3つ提案して」というものがあります。45分を3つで、合わせて2時間15分ぶんの空き時間を、予定表の中から見つけてもらう形です。ホテル探しより小さな用事なので、Museがどう段取りを組むのかを手軽に見られるかもしれません。
勝手に予約や支払いをされることはない?
まず、メールの送信や商品の購入といった大事な操作の前には、Museは本人に確認します。そしてMuseはこちらのパスワードや支払い情報を見ることができません。それでもログインや支払いの手続きは進められる作りで、中身を見ないまま手続きだけを進めます。
支払いには、もう一段の工夫があります。支払いに使う証明の情報は、決まった1つのお店、決まった金額、限られた時間だけ有効なものになっています。別のお店では使えず、金額を変えることもできず、時間がたてば使えなくなるので、思わぬ使われ方をしにくいのかもしれません。
Museが動く場所も分けられています。利用者ひとりずつに、インターネットの向こう側に専用のパソコンのような環境「Muse Secure VM」が用意され、Museはその中で作業します。インターネットへの出入りを管理するのは、Museとは別の見張り役のAI「Sentinel(センチネル)」です。Sentinelは外のサービスへのアクセスや操作の中身をチェックし、必要なら本人に承認を求めます。Museは「これをやりたい」と提案するだけで、実行の許可を出せるのはSentinelだけです。作業する係と許可する係が分かれているので、Museひとりの判断では操作が実行されない仕組みです。
自分で決められることも多くあります。どのアプリをつなぐか、どこまで触らせるかは自分で選べて、権限の変更や接続の解除はいつでもできます。Museがやったことと、これからやる予定のことは履歴で見られます。会話や専用環境の中のデータは、Metaの広告の仕組みには渡されません。
一つ覚えておきたいのは、AIの学習への利用です。Museとのやり取りをMetaのAIの学習に使わせないように、オプトアウトの設定ができます。アメリカでは、学習への利用は最初からオンになっていて、Museの設定画面にオフにするスイッチがあります。
Meta自身も、プロンプトインジェクションという手口はまだ防ぎきれていないこと、Museも間違えることがあることを認めています。プロンプトインジェクションは、Webページなどにこっそり悪い指示を書いておき、それを読んだAIをだまそうとする手口です。送信や購入の前に人の確認をはさむ作りは、こうした弱点を見越したものなのかもしれません。
日本で使い始めるには、お金がかかる?
日本では、iPhone(iOS)、Android、Webのmuse.aiで使えます。9月の発表のころにはMacのパソコン版も出ていて、メッセージの整理や昔のファイル探し、仕事の手伝いができますが、日本の提供開始で挙がったのはスマホの2つとWebの3つです。
お金の面では、基本の機能の多くは無料で、もっと使いたい人向けに定額で払う有料プラン(サブスクリプション)があります。Metaのザッカーバーグ氏は、無料で1週間に1億トークンまで使えると話しています。トークンは、AIが文章を読み書きするときに数える、文字のかけらのような単位です。1億は大きな数ですが、Webページを読み比べるような作業ではAIが画面の文章もたくさん読むので、そのぶんトークンも使います。
有料プランの名前や値段は、アメリカで始まった時点では公表されていませんでした。日本円での料金も、公式の発表にはまだ載っていません。
アメリカでの始まり方も参考になります。アメリカでは最初、18歳以上の大人が対象で、無料で使う場合も登録のときに支払い用のカードが必要でした。公開から24時間以内に、App Storeのランキングで4位に入りました。
これから、どんなことができるようになるの?
日本でまず挙がっているのは、メルカリ、マネーフォワード ME、チケットぴあとの連携です。ただし日本では今後の予定になっていて、始まったばかりの今はまだ使えません。フリマアプリや家計簿アプリ、チケットの販売サイトといった、日本で身近なサービスとつながるのはもう少し先になります。
アメリカ向けには、旅行の計画を手伝うExpediaや、食料品の買い足しに使うInstacartとの連携も控えています。仕事向けには、メモや資料、プログラムのファイルを置いておく道具ともつながります。支払い方法では、9月の時点で、近いうちにShop Payにも対応する予定になっていました。
9月のイベントでは、新しい機能もいくつか発表されています。長い会話を続けながら裏で用事を片づける高度な音声モードでは、「もっと速く」「もっとゆっくり」と頼むだけで声の話し方を変えられます。ほかにも、作業や人とのやり取りに使えるMuse専用のメールアドレスや、Museの声を表情豊かに動くアバターにする「Muse Realtime Avatar」、Museをポケットに入る大きさに収めた専用の機械「Muse Charm」が登場しました。音声モードやアバター、専用メールアドレスなどが日本でいつ使えるかは、まだ発表されていません。
スマホの外にも広がります。今後数か月のうちに、名前を呼ぶだけで手を使わずに動かせるAIグラスにMuseが入る計画です。グラス版のMuseは目の前にあるものを見て分かるので、いま何が見えているかを言葉で説明しなくて済みます。日本でグラスにMuseが載る時期は、まだ決まっていません。
用語ミニ解説
- AIエージェント: 質問に答えるだけでなく、頼まれた用事をいくつもの手順に分けて、自分で進めるAIのことです。
- Sentinel(センチネル): Museとは別に動く見張り役のAIです。Museが外のサービスで何かしようとするたびに中身を確かめ、必要なら本人に許可を求めます。
- オプトアウト: 最初はオンになっている仕組みを、自分から「使わないで」と断ってオフにすることです。
Me-Moon編集後記 🌙
ホテル探しや請求額の見直しのような、後回しにしがちな用事を、アプリを閉じている間に進めてもらえるのはちょっとうれしいです。しかも大事な操作の前には確認が来て、パスワードも見られない作りなので、最初の1つを頼みやすく感じます。
まずは来週の予定から、45分の空き時間を3つ探してもらうところから試してみたいですね🌙
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あわせて読みたい
同じ10月に日本で始まった、スマホの中の情報を探して手伝ってくれるAIとして比べて読めます。
Museに頼む最初の1つを考える前に、スマホでできるAIの使い道をひととおり見られます。
参考リンク
- Metaのパーソナル AI エージェント「Muse」、日本での提供を開始 — Meta(公式ニュースルーム), 2026-10-23
- Meta、AIエージェント「Muse」を日本で提供開始 — ITmedia NEWS, 2026-10-23
- パーソナル AI エージェント「Muse」を発表 — Meta(公式ニュースルーム)
- Meta Connect 2026 発表内容まとめ — Meta(公式ニュースルーム)
- Security and safety for AI agents: our approach with Muse — Meta AI Research Blog
- How to get started with Meta Muse — The Neuron
- Meta Muse app hits App Store top spots — Crypto Briefing
- Meta Muse agent pricing — eesel AI
- Meta Muse launch — Tech Insider
