鎌倉インテルのNFT、ゴールが決まるとご褒美が届く

鎌倉インテルのNFT、ゴールが決まるとご褒美が届く

3行でわかるこの記事

  • 何が起きた? これまで応援はスタンドから声を出して見ているだけでしたが、鎌倉インテルのホームでは自分が持っている1平米のNFTでゴールやシュートが起きると、その持ち主にご褒美が届きます。
  • 重要なポイント クラブは2026年7月24日、102メートル×64メートルのグラウンド6528平米を6528枚に分け、区画と持ち主を自動で結びつける仕組みで特許を取ったと発表しました。
  • なぜ注目? ピッチで起きたことと自分を結ぶ線ができて、応援が声を出すだけの行為から、番号のついた持ち場を守る行為に変わったからです。

はじめに

「サッカーの応援って、スタンドから声を出すだけだよね」

後半のロスタイム、あと1点が遠くて声を張り上げているとき、ピッチと自分の間にはフェンス1枚ぶん以上の距離があります。

神奈川県鎌倉市のサッカークラブ、鎌倉インターナショナルFCのホームゲームでは、その距離が少し縮まっています。愛称は鎌倉インテル。クラブはホームの芝生を1平米ずつに切り分け、6528枚のNFT(デジタルの持ち主証明)としてサポーターに持ってもらっています。自分の区画でゴールやシュートが起きると、持ち主にご褒美が届きます。そして2026年7月24日、この仕組みで特許を取ったとクラブが発表しました。

この記事では、こんなことをお伝えしていきます。

  • ゴールが決まると、持ち主に何が届くの?
  • どうやって、あなたの区画で決まったとわかるの?
  • なぜ特許を取ったの、独り占めするため?

サッカーもデジタルの証書も、どちらかは初めてという方もいると思います。できるだけわかりやすくお伝えしますね。

ひとことで言うと

鎌倉インテルの取り組みは、スタジアムの芝生を1平米ずつのスタジアムNFTとして持てるようにして、その区画でゴールやシュートが起きたら持ち主にご褒美が届く仕組みです。クラブはこの仕組みで特許を取得しました。ここからは、何が届くのか、どうやって持ち主だとわかるのかを順番に見ていきましょう。

自分のNFTでゴールが決まると、何が届く?

グラウンドは102メートル×64メートル。1メートル四方のマス目で区切ると6528枚になります。鎌倉スタジアムNFTプロジェクトでは、この6528平米を対象に同じ数のNFTを発行しています。

1枚ずつに固有の区画番号が割り当てられていて、持ち主はデジタルの上でその1平米を持つ形になります。ゴール前の右寄り、センターサークルのど真ん中、コーナーフラッグのすぐそば。番号は場所と結びついているので、自分の1平米がピッチのどこなのかがわかります。

動き出したのは2025年3月23日のトップチーム公式戦でした。クラブはこの試合を皮切りに、持っている区画と試合の展開を連動させるゲーム、SHOOT ZONEを始めています。自分の区画でゴールやシュートが起きると、持ち主にリワードと呼ばれるご褒美が届きます。

では何が届くのか。クラブの案内では、試合の展開と連動して特典を獲得するドキドキを楽しめる、という説明です。中身はひとつに固定されておらず、今後もさまざまな特典を用意して随時発表していくとしています。

つまり、何が届くかは決まっていません。あらかじめ景品が決まっていて、それを受け取る形ではないのです。自分の1平米にボールが来るかどうかも、そこで何かが起きるかどうかも、試合が終わるまでわかりません。この読めなさが、そのまま90分の楽しみになっています。

今までゴールの瞬間に沸くのは、スタジアム全体でした。今の1点は自分の場所で決まった、に変わると、喜び方が一段細かくなります。

そもそも、どうやって「あなたの区画」だとわかるの?

自分の区画で決まった、と誰がどうやって判断しているのか。難しそうに聞こえますが、流れは三段しかありません。

一段目は、プレーが起きた場所を見つけること。AIやセンサーが、シュートやゴールがピッチのどのあたりで起きたのかを読み取ります。教室の座席表を思い浮かべてください。マス目に出席番号が振ってあって、ボールが落ちたのがどの席かを見ている状態です。

二段目は、その場所の持ち主と結びつけること。どの区画番号を誰が持っているかという記録はブロックチェーンに置かれていて、後から書き換えるのが難しい形で残ります。

三段目は、ご褒美を渡すこと。この区画でゴールが起きたらこの人に渡す、という取り決めをあらかじめプログラムに書いておき、条件を満たした時点で自動的に実行されます。係の人が座っていなくても、記録どおりに手続きが進む無人の受付のようなものです。

この三段は、クラブが1社で抱えているわけではありません。公式発表によると、記録の土台をつくる部分、映像から位置を読み取る部分、スタジアムの映像を運ぶ部分を、それぞれ別の会社が受け持っています。試合の映像を見返して名簿と照らし合わせる人はいりません。

なぜ特許を取ったのか、独り占めするため?

特許と聞くと、囲い込みの話に思えるかもしれません。鎌倉インテルの説明は逆でした。

認められたのは、2025年9月17日に出願していた仕組みです。スタジアムのような空間を複数の区画に分け、それぞれの区画に紐づく権利をブロックチェーンの上で持ち主と結びつける。この考え方が発明として認められました。

代表の四方健太郎さんは、目的をこう述べています。「今回の特許出願は、他者を排除するためのものではなく、この分野に最初に挑戦した私たちが排除されずに共創を続けるために行った」

そのうえで、技術を通じて新しいスポーツ体験やファンコミュニティをつくる企業や団体と、連携を深めたいという考えを示しました。今回の特許には、体験を支える技術的な基盤を守りながら、他のクラブや他の競技、他の産業との連携を進めやすくする狙いがあります。

先に旗を立てた側が、後から締め出されないための杭を打っておく。この仕組みは鎌倉だけで終わる想定ではない、ということです。

投機のイメージが強かったNFTは、いま何に使われている?

NFTと聞くと、値上がりを狙って売り買いする話を思い浮かべる方もいると思います。今回の特許を報じたCoinPostによると、市場全体では数年前のような投機的な盛り上がりが沈静化する一方で、国内ではスポーツやファンコミュニティの分野で実用的な活用事例が増えているそうです。

鎌倉インテルの取り組みも、現実の空間で起きた出来事をデジタルの上の価値に変える仕組みとして、その流れの中に位置づけられます。

値上がりを待つために持つのではなく、応援を形にして持つ。線の引き方が変わりました。

私たちの応援は、これからどう変わる?

鎌倉インテルは2018年1月に設立されたクラブです。今季は神奈川県社会人サッカーリーグ1部を戦い、近い将来のJリーグ参入を見据えています。

出発点はクラウドファンディングでした。スタジアム芝生1平米オーナーとして応援してきた約2000名に、保有する口数と同じ数のNFTを配るところから始まっています。新しく買い直すところから入る話ではありませんでした。

受け取りにはデジタルの財布アプリが必要です。クラブスポンサーであるNTT Digitalのscramberry WALLETが推奨として案内されていて、日本国内で使える携帯電話番号があれば初期登録ができます。MetaMaskなど他の財布アプリでも受け取れるので、入り口はひとつではありません。

そして特許の取得にあわせて、クラブはスポンサーや協業パートナーの募集を進めています。ゲーム要素の開発、応援する人とのつながりを深める仕組みづくり、他のクラブや他の競技へ広げるためのパッケージ化。この3つが中心です。鎌倉で作ったものを、他所でも組み立てられる形にしていく段階に入ったということです。

いつか、あなたの応援するチームのグラウンドにも番号のついた1平米が並ぶかもしれません。次にスタジアムでゴールが決まったとき、芝生の一枚一枚に誰かの名前がついていると思うと、いつもの歓声が少しだけ違って聞こえてきそうです。

用語ミニ解説

  • NFT: デジタルのものに、これは誰の持ち物かという記録をつけられる仕組みです。鎌倉ではグラウンドの1平米ごとに発行されています。
  • ブロックチェーン: 記録を参加者で分け合って持ち、後から書き換えにくくする技術です。どの区画を誰が持っているかの管理に使われています。
  • スマートコントラクト: 条件を満たすと自動で処理が動く取り決めです。ご褒美を渡す流れを人手なしで回します。
  • デジタルウォレット: NFTを受け取って保管する財布アプリです。scramberry WALLETのほか、MetaMaskなども使えます。
  • SHOOT ZONE: 持っている区画と試合の展開を連動させる、NFT保有者向けのゲームです。

Me-Moon編集後記 🌙

自分の1平米でゴールが決まるとご褒美が届く。聞いた瞬間、サッカー好きの友人に話したくなりました。

デジタルの証書が、人を芝生のある場所まで連れ出しています。週末の1点が、誰かの持ち場での出来事にもなる。そんな見方ができるのは面白いですね🌙

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小宮 滉

監修者

小宮 滉

コインチェック株式会社を経て、現在はGUILD株式会社および一般社団法人Web3人材マネジメント協会の代表理事を務める。

Web3・仮想通貨分野では、「NGG(NinjaGuild_Japan)」というコミュニティの運営や、「IVS Crypto THE DEMODAY」MetaMeトラックでの優勝など、多くの実績を有する。

また、AI・ブロックチェーン開発を強みとしたDXサービスを提供し、企業の成長を支援します。AI・ブロックチェーン技術との統合を通じて、DX体験をシームレスに実現し、ユーザーと企業の双方に新たな価値を創出することを目指して、開発支援やマーケティングを行っております。

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